桜色の幽霊 一 ページ3
「……はぁ……」
学校からの帰り道。カバンを乗せた白の自転車をついて、私は坂道をのろのろと登っていた。
春のぽかぽかした陽射しが私の身体を暖め、ハンドルを握る手のひらに汗がにじむ。
(何でこんなとこ来なくちゃいけないんだろう、私……)
私は部活を休んで、私の家と正反対の方向にあるある場所に向かっていた。
「いるかな、あの人……」
坂をしばらく登ると、赤い屋根の家に着いた。庭の周りをぐるりと赤茶色の門が囲んであり、普通の家より一回りも大きな家だ。
私は自転車を門の横に止めると、そっと門を開け綺麗に手入れされた広い芝生の庭に入った。
赤茶色のレンガの道を渡って木製の扉の前に立つと、私は一つ深呼吸をしてから、インターホンを押した。
ピンポーン……。
静かに澄んだ音が鳴る瞬間、私はいつも少し緊張してしまう。これが他の誰かの家だったらそんな事はないのに。
「はーい」
ガチャッ、とドアが開いて、若い男の人がひょこっと顔を出す。
「上がって」
「……お、お邪魔します……」
長い坂道を登り切って、へとへとになった私に、赤いパーカーを着た男の人は声に出して笑った。
「はは、どうしたの真白ちゃん？ いつにも増して疲れてるみたいだけど」
「そりゃあ疲れますよ……何でこんな立地条件の悪い所に建てたんですか、赤松さん」
男の人――赤松さんは「いやいや、そこまで悪い条件でもないよ？」と笑う。
「確かに大学は遠いし、道は急だけど、車があれば一発だからね」
「毎日自転車通学してる中学生の身にもなってほしいです……」
長い木の廊下を通り、私はいつもの和室に通される。赤松邸の外観からフローリングや洋室のイメージがあるけれど、中は畳と和室ばかりの純和風造りだ。
「今時、珍しいですよね。若者がこんな不便な所にわざわざ和風のお屋敷を建てるなんて」
「俺は和の家系に生まれたからね。やっぱり和室の方が落ち着くんだよ」
赤松さんは、この街から二駅ほど離れた所にある大学に通っているらしい。が、大体いつ訪れても家にいるので、本当に通っているのかは怪しい所である。
「今日、始業式だったんでしょ？ どう？ 愛しの蒼くんと同じクラスになれた？」
「なりましたけど、そういう関係ではないです」
「良かったー。真白ちゃん、今フリーなんだ」
いつものようにおちゃらけた赤松さんをスルーしつつ、私は目の前に出された麦茶を一口飲む。
「それで？ 今日は何でここに来たの？」
「……実は……」
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くろーさぎ(プロフ) - 造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~さん» コメントありがとうございます！(≧∇≦) (2019年8月21日 7時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~ - ((((；ﾟДﾟ))))))) (2019年8月21日 1時) (レス) id: e5491ec8cb (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - サルンラップさん» コメントありがとうございます！！咲良ちゃんは個人的にお気に入りですww閲覧ありがとうございました！！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
サルンラップ - すごい面白いです！咲良ちゃんなんか好きだなあw更新頑張ってください！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 306dfa2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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