桜色の幽霊 二 ページ4
「うちの学校の校庭に、大きな桜の木があるんですが……」
「あぁ、もう何十年も経ってそうな大木でしょ。この辺の桜の中でも一際大きくて綺麗だよね」
その通りだが、彼はうちの学校には来た事がないはず。何で知ってるんですか、というツッコミをいつもの事だと飲み込んで、私はトミから聞いた話をした。
「夜になると、その木の下に、若い女の人の幽霊が出るそうです」
「……ベターだね。怪談じゃよくある展開だよ」「そうですけど……この噂、二年生の時にはなかったんです。春休みの間に、ある少年が体験した話が噂の元になっているようで……」
「……へぇ」と、赤松さんは少しだけ反応した。
「突然現れたってわけね……ちょっと詳しく聞かせてもらえるかな?」
「はい。これは、二年の
*
春休み半ばの、三月末のある日。大木くんは一人で夜の学校に忍び込んだ。
大木くんは終業式の日に学校に忘れ物をしていたが、取りに来る時間がなく、結局何日後かになってしまったのだった。
こっそり忘れ物を回収して、校舎を出た大木くんは、校庭の隅の桜の木の下に、誰かが立っているのが見えた。
「……うぅ〜……ううぅ〜……」
白っぽい服を着たその人は歌うように、低い声で泣いていた。
「あ、あの……」
ただごとではないと思った大木くんは、その女の人に声をかけた。
「……大丈夫ですか……?」
「う……うぅ〜ぅ……うぅう……」
戸惑う大木くんに、女の人はスッと顔を上げた。
「うぅ……う〜うぅう……うぅ〜ううぅ!!」「……っ!?」
大木くんは咄嗟に後ずさった。女の人の顔は半分崩れ落ちて、頭蓋骨が見えかけていたのだ。そして、彼女が着ていた白い着物は、死装束だった。
「うぅ〜……ううぅうぅ〜……!!」
何かを恨むようなその声に、怖くなった大木くんは校庭を飛び出した。
*
「その後、大木くんは家に帰ったそうですが……今日、学校を休んでいました」
「……つまり、それ以来学校には来ていないってこと?」
「はい……同じ二年生の男の子が、凄く心配してました。あいつ、滅多に風邪引かないのにって」
怖くて来られないのだろう。またあの幽霊に会うかもしれない、命を狙われるかもしれないと思うだけで心底怖くなるものだ。私もこの人と出会うまで、そういう事も多かった。
「真白ちゃん、今夜空いてる?」
赤松さんは笑顔で訊いて来た。
「会いに行こうよ。その幽霊にね」
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くろーさぎ(プロフ) - 造山監督帯( ⊇・ω・⊇)~キノコ~ノコノコ~さん» コメントありがとうございます!(≧∇≦) (2019年8月21日 7時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
造山監督帯( ⊇・ω・⊇)~キノコ~ノコノコ~ - ((((;゚Д゚))))))) (2019年8月21日 1時) (レス) id: e5491ec8cb (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - サルンラップさん» コメントありがとうございます!!咲良ちゃんは個人的にお気に入りですww閲覧ありがとうございました!! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
サルンラップ - すごい面白いです!咲良ちゃんなんか好きだなあw更新頑張ってください! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 306dfa2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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