―桜舞い散る四月― ページ2
窓の外には相変わらず、大量の桜が降っていた。
「……」
窓際の席でぼうっとしていた私を、誰かが後ろからぽんと叩いた。
「おい、真白！」
心配そうに私を覗き込むのは……。
「……蒼」
「さっき何度も名前呼んだのに、何で返事しないんだよ」
ごめん、と小さく謝る私に、まぁ良いけどよ、と笑って蒼は隣の席についた。
「今年も同じクラスか……一年間よろしくな」「うん。……よろしく、蒼」
中学校三年間、ずっと同じクラスだ。今日は始業式で、私達も今年からは受験生。呑気に過ごしていられなくなるなぁ、と吐くため息が重かった。
「まぁまぁ、んな暗い顔すんなって、白雪！」
蒼の後ろから割り込んで来たのは、クラスメイトの
「受験なんかまだ先の話だろ。気にしないで良いって！」
「お前みたいなのが受験間近になって“やべぇ、志望校受かる気しねぇ！！”って焦るんだろ」「真面目だなぁ、青木は。せっかく同じクラスになれたんだぞ？
トミは少し声を小さくしたが、聞こえてしまったのか、少し離れた席にいた佐倉さんがびくりと肩を跳ねさせた。
「……え、あ、あの」
「あぁ、ごめんな佐倉。こいつの事だから気にするな」
「え、あ……はい……」
蒼の言葉に、佐倉さんはうつむいた。トミが小声で「やっぱあいつ美人じゃね？」と囁く。
「大人しそうにしてるけど、可愛いって。初めて見た時、マジ、キュンとしたもん！」
「お前のキュンキュンはどうでも良いから早く席に帰れ」
つれないなー、と苦笑した後、トミはハッとした表情を浮かべた。
「そうだ！ 二人にビッグニュースな！ これはどうでも良いなんて言えないぞー」
「何だよ」
「白雪ってさ、好きだよな？ 桜」
唐突に訊かれて、私は戸惑いつつも「う、うん、まぁ……」と返す。
「校庭にさ、でっかい桜の木あるじゃん。あの下に出るんだってよ……」
コレが。
そう言ってトミは胸の前で、両手をだらんとぶら下げた。
「……え……」
「綺麗な女の姿をしてるんだってさ！ ちょっと見てみたいよなー」
「何だよそれ。馬鹿馬鹿しい……」
その時、チャイムが鳴った。同時に先生が教室に入ってくる。
「あっ、やば！ オレ戻るわ！ じゃ！！」
トミは素早く自分の席に戻った。
新しい男の先生の挨拶を聞きながら、私はそっと窓の外に目をやった。
数分の間では、桜は何も変わらずに、黙ってたくさんの花弁を降らしていた。
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くろーさぎ(プロフ) - 造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~さん» コメントありがとうございます！(≧∇≦) (2019年8月21日 7時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~ - ((((；ﾟДﾟ))))))) (2019年8月21日 1時) (レス) id: e5491ec8cb (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - サルンラップさん» コメントありがとうございます！！咲良ちゃんは個人的にお気に入りですww閲覧ありがとうございました！！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
サルンラップ - すごい面白いです！咲良ちゃんなんか好きだなあw更新頑張ってください！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 306dfa2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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