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ー A side ー
『 あれ？お風呂上がるの早いね、
…………両角くん 』
血の着いた服を片付けて、今回の記念日に使った凶器を流しにゴトン、と落としながら振り向いた。
そこには上半身裸で、首周りにかけたタオルでガシガシと頭を拭く姿がある。
「 うん！だってAとの記念日だよ！？ゆっくり2人で過ごしたいじゃん♡ 」
『 …ふふ、なるほどね？それはすごく素敵な提案 』
真っ赤なペンキが塗られた床に、どさりと寝転がって、私の膝の上に頭を乗せた両角くんは、
相変わらず可愛いのかかっこいいのか曖昧な顔で私を微笑んで見上げる。
そっと頬に彼の手が触れて…そのままゆっくりと顔が近づいてくる。
瞼を閉じれば、ちゅ、とリップ音がして、相変わらず煽るのが上手な両角くんだ。
そっと目を開いて満足気に「 んふふ 」と笑みをこぼした彼に、ふに、と唇を押し付けた。
離れればきょとんと目を丸めた表情が見れた。
「 …ひ、久しぶりにAからちゅーしてくれた… 」
自分の唇をふにふにと触って触感を確かめるようにする彼を見て、くすくすと笑ってしまった。
「 なんで笑うのさ… 」
『 んー？…だって可愛くてさ 』
思わずあはは、と声を出して笑う。
するとぷくりと頬をふくらませた、少年のままのような両角くん。
「 Aの方が可愛い 」
『 んーん、両角くんの方が可愛い 』
「 違うよー！Aの方が可愛いの！ 」
2人で目を合わせて、ぷっ…と吹き出してけらけらと笑いだした。
ああ、やっぱり両角くんといると楽しいな。
これからも、この愛しい人と一緒に……。
居られたら。
私たちの後ろで、四人の笑顔の落書きが壁に施されていた。
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作者名：鳳 惣一 | 作成日時：2021年7月6日 0時
