ささる ページ33
Aside
彼女はずっと
ずっと泣いていた
1歩、また1歩と近づく
それはまるで今までの時を
ゆっくりゆっくり、埋めていくように....
ポケットにあるのは、あの頃には知らなかった
真っ白なハンカチ
それを彼女に差し出す
「使ってください」
敬語は変わらないけど、なんとなくなにかが近づいた気がした
彼女は振り返ると勢いよく抱きついてきた
驚きすぎて、声も出せなかった
段々と彼女の泣き声が小さくなるとともに彼女からはボソボソとなにかを呟く声が聞こえた
最初に聞こえた言葉は
『全部....
....そうだ
お前さえいなくなればいいんだ』
「えっ....」
突然の痛みと彼女の顔に
言葉がつまった
腹部の痛みは突き刺さっているナイフ
彼女の顔からは嗜虐的な笑みも涙もない
視点が定まっていない目とすべての感情が消えた顔
それは、今まで見てきた中で1番残酷だった
彼女が少し押しただけで力が抜けた体は簡単に後ろへ倒れる
倒れるまでがやけにゆっくり見えるのはなぜだろうか
ばたん
体に刺さったナイフを抜き出されては、
間髪いれずに突き刺される
無言の彼女は何度も
何度も刺し続けた
71人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロス | 作成日時:2018年11月25日 2時