悪夢再び ページ30
Aside
中也さんとの任務を終え、自分のデスクがある部屋に入る
最近は同室の人も挨拶をしてくれたりする
何か些細な事があっただけでもかけよって教えてくれる
ドアノブをひねり、扉を開ける
次に来たのは挨拶でも駆け寄ってくる同僚でもなかった
あの頃と同じ
冷たい空気
誰一人此方に視線を向けようともしない
その瞬間、脳裏に最悪の映像が流れた
資料室
鎖
飛び散った紅
高笑い
そういうことか___
私のデスクの上には大量の資料
_ではなく、1通の手紙
手紙の裏を確認する
差出人の名前はなかったが
代わりに家紋で手紙が閉じられていた
此れが送られるのは金儲家が判断した者だけだ
中身をゆっくりと読む
***
手紙を封筒に入れる
時計の針が時間を刻む音だけが聞こえる
ゆっくり立ち上がって部屋を見渡す
もうこの部屋には誰もいない
部屋を出て、長い廊下を歩く
あの部屋は盗聴されていた
だから誰も話せなかったのだ
私ももうすぐ
“先輩っ!”
幻聴が聞こえた
ああ、最後に言ってあげたかったな・・
そう思っていると・・・
「黒中先輩!!」
またか、とも思ったが今度は違う
背中の温もりとお腹に回された腕と荒い呼吸が
現実だと教えてくれる
「どうし・・・」
「行かないでください!!」
叫びにも似た声
「行かないでください!
行ったら・・・先輩は・・・・
先輩が!!!」
嗚咽によって先の言葉は聞けなかったが
この心優しい後輩が私に向けてくれる感情は
__私には勿体なさすぎる
「せんぱ・・・いかな・・で・・」
腕の力が強くなるがわかった
私ならこんな弱い力なら無理矢理振りほどけるけど
__できなかった
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作者名:クロス | 作成日時:2018年11月25日 2時