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歯車 ページ29

Aside




「中原幹部っ!!」




ポートマフィアの入り口で空を見上げている男性




小柄で黒いコート、帽子を被っている




振り返ると同時に揺れる髪はとても綺麗だ




口元に浮かべられた笑みは私にだけ向けられている




「行くぞっ」




再び前を向き、歩き出すその背中は大きくて




私の憧れだ




小走りで追いつき、隣を歩く




「中原幹部っ




行きましょう!!」




中原幹部は足を止めポカンとした顔をしてる




そんな中原幹部をおいて少し先を歩いてから振り返る




私は少しでも彼を・・・




貴方を




「中也さんを・・・



















支えられているでしょうか?」




中原幹部は再び笑みを浮かべると腕を伸ばす




叩かれるかな・・・




何て思って目をつぶる




次に来たのは痛み・・・・・かと思ったら




頭の上に重みが




重み?




「えっ・・・?」




グシャグシャと乱暴に髪を撫でるその手は暖かかった




「A・・・









とっとと行くぞ」




そう言って歩いて行く貴方を追いかける





こんな些細な幸せが私にとってはきっと勿体無いくらいなんだろうけど




ありがとう神様




その時、刺すような視線が私を射抜いた気がした




でも、私は今の時間を少しでも長く感じていたくて




特に振り返りはしなかった









***




こんなふうに普通の人と同じような普通の生活をしていたから気がつかなかったんだ




このとき私達と入れ違いになるように本部に入っていく悪魔に




人の顔をした化け物に




現実を突きつける




幸せを奪っていく簒奪者に




気がつかなかった




その魔女が私を睨んでいることに




人生の歯車と過去の歯車が




今、再び動きだす




そして新たにできた





『運命の歯車』が共に回る

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作者名:クロス | 作成日時:2018年11月25日 2時

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