それはきっと灰色の空想 (ページ3)

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桃色の遺言書ページ3

友人が死んでから10日程たったある日、私は友人の家に居た。決して不法侵入などではないので勘違いしないように…。私を呼び出した友人の母は、やつれ果てたひどい顔で私に一通の手紙を差し出した。

「……あの子の部屋の…机の上に置いてあったの。あなた宛てにって……。」

その手紙は、遺書というのはあまりにも可愛らしい便箋が使われており桃色の花のシールで止められていた。受け取って中身を開けてみるとなんともまぁ可愛らしい文字で書かれた手紙が、2枚納封されていた。

『これは遺書じゃないよ、私が君に伝えたかった事を書いただけ。自己満足だけど呼んでくれたら嬉しいな。まぁ、君の事だから読まずにゴミ箱に捨てそうだけど笑』

これから死ぬ人間が書いたとは、到底思えなかった。いつもの、私が知っている友人の言葉だった。手紙には先に逝ってしまうことの謝罪や、私への今までの感謝など、ありきたりな内容が綴ってあった。しかし手紙の最後にはこんなことが書かれていた。

『実を言うと私は君のことが嫌いだったのかも知れない。こっちの劣等感なんて気付こうともせずに、自分のことしか考えてないようなところが毎回癪に触ってた。けど、私のことを馬鹿にはしなかった、それが1つの救いだった。君も早くこっちにおいでよ。君なら私の友人ポジションくらいにはなれるんじゃないかな？もっとも、ヒロインの座は渡さないけどね！』

「ははっ」

思わず笑ってしまった。いやはや、やはり死んでも友人は友人なようだ。仮にも友に「早く死ね」とは全く持って不謹慎というかなんというか…。

「そのうち行くから、茶でも飲んで待ってろよ。」

死にたいとは思わないが、私のたった1人の物好きな友人がこう言うなら、素直に死んでやってもいいんじゃないかと思えてくる。もともと生きてるか死んでるか分からないような女の命だ。唯一の遺言の為に散っていっても誰も文句は言うまい。

その3日後、私は学校の屋上から飛び降りた。

どこかで友人が笑ったような気がしたが……まぁきっと気のせいだろう。