それはきっと灰色の空想 (ページ2)

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少女Aの独白ページ2

私の友達は愛想がなかった。おまけに気遣いもなければデリカシーもない。典型的な他人に興味のないクズ野郎だったが、私の話にはちゃんと耳を傾けてくれた。そんな所が憎めなかった。

おまけに頭も良ければ顔もいい。私には無いものを沢山持っていて正直羨ましかった。もし、転生するのなら彼女のような綺麗な人間になりたい、そう思うほどに。

私は頭が悪かった。顔はまぁまぁ可愛かったが、それ以外は全くと言っていいほど取り柄のない能無しだった。そんな現実から目を背けたくてのめり込んだネットの世界だけが、私の安らぎの場所だった。色んなイケメンキャラ達にちやほやされ、愛され、可愛がられる妄想。とても甘美な時間だった。大好きだった。

「お前はさ、いつも楽しそうだよな。」

ある日、友達がふと呟いた言葉。その言葉に、内心私は首を傾げていた。「いつも楽しそう」に見えているのだろうか。そんな事は考えたことがなかった。劣等感や妬み嫉みを丸め込んで、隠して、閉じ込めて。いつもいつも上から重ね塗るように「幸せ」を上書きしていた。そんな薄っぺらいものだった。

「……えへへ…そう見える？やっぱり幸せオーラっていうのが出ちゃってるのかなぁ？」

甘ったるい声でそう返せば、彼女は「ははっ」と乾いた笑みを零した。いつも通りの、午後の教室での事だった。

あぁ、親愛なる友よ。私は死んでしまった。それはもう本当にくだらない理由で自ら命を絶ってしまった。

後悔していないと言えば嘘になる。それでも私は、私のしたことに後ろめたさを感じてはいけない。卑下してはいけない。肯定しなければいけない。取り戻せないものだから、断ち切ってしまわなければならない。

最後にあの子が、私の顔を見て涙のひとつでも流してくれたなら安心して逝ける。転生したいという欲求は少し薄れ始めたが、せっかく死んだんだ。この際転生なりトリップなりさせてくれてもいいんじゃないだろうか。

薄い意識の中で、暗がりを見つめる。

真っ暗で、何も無い。無機質な世界。とても命が還る場所とは思えない、そんな空間。

神はまだ来ない。