待ち構えていた日―�� ページ10
「…すず。何がズルいんですか？」
冷静に、震えないように低く呟くとすずはビクリと大きく肩を揺らしました。
私が素直に引き下がらない事に動揺しているのでしょうか。
「だって…ズルいよ、すずはずっと我慢してたのに………」
「何を我慢していたんですか？」
「お父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも私には何も買ってくれないのに！
アルバイトしたくても私は出来なかったのに！」
「…お母さんからはメールで話を聞いていましたよ。
すずは私が独り暮らしを始めてから、何も欲しがらなくなった、と。
生活に必要なものはちゃんと買い与えていると聞きましたから、何も買ってくれないというのは間違いでしょう。
アルバイトは…これから勉学や友人との関係に支障が出ない程度に好きにすればいいじゃないですか。」
一つ一つに丁寧に答え、一体私の何がズルいのかを質問していくと、すずは何を思ったのか再び泣き出してしまいました。
大粒の涙を流し、私の事を力なく指差しながら。
私達姉妹の事情を知らない方がこの場面だけを見れば、恐らく私が妹のすずを泣かせたと見えるでしょう。
愛らしく、でも可哀想な妹に対して、キツく当たる地味な姉。
過去、それこそ私が独り暮らしを始める以前はこの構図を見て私を責める方に何人も出会いました。
「なんでいつもお姉ちゃんばっかり…！
私の事嫌いだからって意地悪しないでよ！」
これも、彼女の常套句です。
この言葉を言ってしまえば、可哀想な妹と意地悪な姉という完璧な構図が出来上がってしまう。
教室の中にいるクラスメイト達はある程度私達の事情を知ってはいますが、廊下にいる生徒達は何も知りません。
泣き喚くすずの声を聞いて何があったんだとこちらに注目し始めてしまいました。
そしてやはり、私に向けられる視線が厳しく痛いです。
一方のすずに対しては、まるで「あんなに可愛らしい子に一体何が…」とでも言いたげな同情するような視線が送られているように感じます。
「…すず。だからといってそのシャーペンは………」
「嫌！」
「返してください。」
「嫌！私のだもん！」
「………それがないと私が授業の時困ります。」
もうこの厳しい視線にも慣れたつもりでいましたが、精神的には辛い。
早く話を切り上げてシャーペンを返して貰おうとしましたが、すずはそもそもこのシャーペンは自分のものだとでも言わんばかりに握り締めて後退りしていきます。
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Guilty(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます、キャラの把握、そして溺愛っぷりはかなりこだわって書いてますのでそう言って貰えると嬉しいです☺ (2023年2月23日 13時) (
レス) id: 4d6b8818fd (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 及川さんの溺愛っぷりがすごいです！キャラがちゃんとつかめていて、見ててすっごく面白です！！ (2023年2月23日 13時) (レス) @page44 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 長らくお待たせしてしまいましたね😅文章の書き方はこだわっているつもりですのでそう言って頂けると嬉しいです、ありがとうございますo(_ _)o (2022年9月11日 19時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ここここ更新されてる😭ずっと待ってたんですよ！！1話1話の文の書き方好きです (2022年9月11日 18時) (レス) @page29 id: a182ab6823 (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 毎晩覗きに…！？Σ(ﾟ∀ﾟﾉ)ﾉマジですかありがとうございます、そんなに期待されていたとは…毎日更新が出来ないのが申し訳ないです、必ず近いうちにまた更新させて頂きますm(__)m (2022年8月23日 2時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Guilty | 作成日時：2021年7月8日 14時
