アモーレ、たまごたち！

［会計委員会］ ページ26

「……うぅ」

パチンパチンと軽快な音が部屋中に響く。その場にいる全員が黙り込み真剣にそれを打つ姿は、私が画家であれば絶対に描くだろうなって思うぐらいさまになってる。でも。でも！

「……静かすぎるよぅ……」

誰にも聞こえないようにこっそりと言ったつもりだったけど、流石は忍者。全員が「そういうこと言うな」みたいな目で見てきた。怖い！いやでもむずむずする……。さっき団蔵に言われるまま一緒に来たけれど、会計委員会は気難しい人が一番上なだけあってやりにくい！作戦は何も思いつかず、では実際に現場を見に行きましょう！事件は現場で起こってるからね！と軽い気持ちで足を運んだ会計室。そりゃあ、もう。なんて言っていいかわからないけれど、大変なほどに空気が重いのなんのって！

「何もしないなら帰ってくれ」

文次郎はギラっとした強い眼差しを私に向ける。いやん、熱烈！なんてふざけているバヤイではないので、ふう、と一息吐いた。

「ご飯とってくる！」

え、と困惑する一同を他所に、私は食堂へと駆け込んだ。厨房に入ると、おばちゃんがいる。

「おばちゃんっ！おにぎりつくっておにぎり！」

「え？」

「会計委員会が根を詰めてるからご飯食べさせて休憩タイムにするの！！」

私がそういえば、おばちゃんは「ああ」と納得した声を出しておにぎりを握ってくれた。その間にお茶を用意する。お盆に乗せて会計室に向かえば、そこでは先程と変わらない様子で真面目に計算をする少年たちの姿！あぁあああーっ！！十代なのにこの社畜っぷりは何事！？

「きっ……休憩しなさぁあああい！」

わざと大きな音を立ててお盆を置くと、全員が驚いたように目を丸くする。文次郎は顔を顰め、「先程からなんなのだお前は！」と声を荒らげた。

「活動の邪魔ばかりしやがって！帰れ！」

「邪魔ァ〜！？してないっつの！根を詰めすぎても効率落ちるだけでしょー！？優しい天女様が気遣って軽食持ってきてあげたんですけど！？」

「軽食を食べるほど暇ではない！こっちは忙しいんだ！」

その言葉を聞いてぱちんと切れた音がした。そう！これは女の子のあこがれのあのセリフを言うチャンス！！

「わたし……わたし！」

「なんだ！！」

「私、堪忍袋の緒が切れましたぁああああああああ！！！！！」

バァン！と私が机を大きな音をたてて叩くと、びくりと全員が肩を揺らす。後輩たちは心配そうに私と文次郎の顔を窺っていた。

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