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私の強い想いは届いただろうか。きり丸は丸く開いた目からボロボロ涙を零し始めた。
「あ、あれっ!?泣かせちゃった!?ごめんね!?」
「ううん……いい……俺の方こそごめんなさい……っ!わかったような口きいたのは俺の方だった……!」
自分が笑っていた時のことを思い出したのか、彼が握りこんでいた拳はいつの間にか両脇の親友の手を掴んでいた。
「ユキちゃんトモミちゃんおシゲちゃんもごめん……騙されてるとか言って……」
「本当よ、全く!ほら早く食べちゃいなさいよ、お風呂遅くなるわよ」
流石年上。姉のように強かな言葉で彼らを諭している。いいなあー!私にも欲しいな。
「謝れて偉いなあ、きり丸は!きりちゃんって呼んでいい?」
「え、は、はいっ!勿論……!」
「やったぜ!乱太郎もしんベヱも、きり丸のこと心配で着いてきたんでしょ?偉いね、怖かっただろうに。偉いから私のハンバーグを分けてあげよう」
「えー!いいんですかぁ!?」
しんベヱは先程の心配そうな表情はどこへやら、キラキラの瞳をこちらに向けてダバダバとヨダレを垂らしていた。
「勿論だとも。ほらお食べ」
「やったー!!」
しんベヱ〜……と呆れる乱太郎は、きりちゃんの涙を拭ってあげている。
「天女様……ううん、三好さん?ありがとうございましたっ。きり丸、ずっと塞ぎ込んでたから……」
「うっ!!!聞いた!?ねぇ聞いた!?美女たち、聞いた!?三好さんだって!苗字呼びされちゃったよ!!ねぇ!」
「はいはい。」
トモミちゃんが味噌汁を飲みながら適当に返事をしてくる。くそ、扱いが慣れてきた……くの一は状況に適応するのが早すぎるぜ……。
「だ、ダメでした?」
「ううん!?むしろ呼んで欲しいっていうか……!あでも呼ばれると死んじゃうからあんまり頻繁に呼ばないで欲しいかな!?いやっ……でもこんな可愛い声で呼ばれる機会相当無いよね!?よしカモン!いくらでも呼んで!」
手を叩いた後に腕を広げるすしざんまいポーズをとれば、三人は「何それー」とくすくす笑った。後輩を心配して殺気を出していた他の生徒も落ち着いてご飯を食べている。ちょくちょく、やっぱり前の天女とは違うのかもなって会話が聞こえてきて飛び上がりそうになった。
___皆と関わりたいわけじゃない。けど、仲良くなれるなら仲良くなりたいよね!
昂った気持ちを抑えながら、私は目の前でホカホカと湯気を立てているご飯を口に運んだ。
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小桜(プロフ) - ほんっっっとうに面白いです! 夢主ちゃんの言うことに共感しかありません。そうですよね、忍たまキャラはみんな殺戮兵器ですよね、視界に入れただけで失神してしまいそうです。夢主ちゃんってアホだけどアホじゃない(何言ってんだ?)! 続きも楽しみにしてます! (2022年3月28日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - ( ・_______・ )くじら!さん» わぁ!ありがとうございます!音読して笑っていただけるの嬉し〜い!!私も音読して笑ってます!(うん?)夢主はこれからもハイスピードで駆け抜けていきます!楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年11月23日 15時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
( ・_______・ )くじら!(プロフ) - とても夢主ちゃんの(いい意味で)アホなところに面白くて笑っています!偶に音読して、さらに笑っています!(笑)お身体大事にして下さい:) (2021年11月12日 12時) (レス) @page26 id: 4f01b1638d (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - いちごもんすたーさん» ありがとうございます!ちまちま更新頑張ります! (2021年9月20日 11時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもんすたー(プロフ) - 夢主さんのオタク発揮具合がめちゃくちゃ面白いです(笑)更新楽しみにしています!お体にはお気をつけて (2021年9月16日 21時) (レス) id: c5f21f47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2021年9月15日 16時