# 寿 ページ19
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「…お、追われている、というのは？」
追われているのか、という問いに対して首を傾げるA。
そんなAを見て、名探偵は眉毛をぴくりと動かす。
そしてまた、笑顔になる。
「…気付いて無いならいいや」
「き、気づいてない、？」
疑問ばかりが頭に迫ってくるのか、混乱している。
いいから、と云ってAが座っているソファに腰掛ける名探偵。知育菓子の箱を開けて中身を取りだし、机に広げた。
「春野っち、水持ってきて」
「はい！ただいま！」
「わ、そ、そんな、私が行きます！」
自分では無い誰かが自分のせいで動くのが厭だったのか、勢いよくソファから立ち上がるA。
だが、春野っちと呼ばれた女性はそれに気付かず、既に水を取りに行ってしまった様だ。
顔を真っ青にして、立ち尽くす姿を、名前を呼ぼうとはせずじっと見詰める名探偵。
その二人の間には沈黙が流れ、奥で騒いでいる太宰ともう一人の声が小さく聞こえる。
「持ってきました！…って、お嬢さんはお座りになってください」
「本当にすみません。私が行かずに持って来させてしまって」
「いえいえ、お客様ですから！」
机の上に水が入った容器を置くと、Aの肩を押して座らせる。
そこで、名探偵が口を開いた。
「じゃあ、箱に作り方が書いてあるから、それを見て作ってみて」
「は、はい！」
/
「おや、客人かい？」
扉を開いて入って来たのは黒髪の蝶の髪飾りを着けた女性。
その後ろから荷物を沢山持った橙色の髪色をした少年が入ってくる。
「太宰さんの連れらしいです。今は乱歩さんとお菓子を作ってますよ」
そう銀髪の少年が説明すると目を見開いた。
「へェ、乱歩さんが。珍しい事もあるもんだねェ」
「できました！」
話していた三人がその声を合図に、視線をそちらに向ける。
黒髪の女性が覗いてみれば、Aが知育菓子の寿司をお皿の上に乗せて見詰めて居るのが目に入る。
名探偵が寿司の一つを手に取る。
「よく出来てるじゃないか！まあ、食べるのは僕だけどね」
「め、名探偵様のお口に合うか解らないです。若し不味かっ＿」
「美味しい。初めてにしては善いんじゃない？」
名探偵がそう云うと、Aは嬉しそうに頬を火照らせる。
そんなAの口元に寿司が突きつけられる。
「えっと、」
「…食べなよ。折角、僕があげてるんだから」
「ありがとうございます！」
そう云って寿司を一口食べた。
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gross - 面白いです… (1月8日 10時) (
レス) @page37 id: 52a16cf4dd (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 面白すぎる！続きが楽しみです！ (5月29日 2時) (レス) @page36 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 面白いです！続き楽しみにしてます！！ (2023年4月16日 17時) (レス) @page18 id: 71114ebb82 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 太宰さんナイスです！続きすごく気になります！頑張ってください！ (2023年4月14日 23時) (レス) @page15 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - すごく素敵なお話だと思います！続き待ってます！ (2023年4月12日 16時) (レス) @page6 id: ece26d42b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりがみ | 作成日時：2023年4月11日 14時
