26話 ページ28
フロイドside
保健室へ運ばれたアイツはなんとか命は繋がったがまだ危ない状態にあるらしかった。
あと少しでもオレが見付けるのが遅かったら死んでいたかもしれない、なんて恐ろしい事を言われた。
最悪の場合を考えて
ﾋｭｯ、と喉が鳴った
陸の生き物は不便だと思った
か弱いと思った
ふと守りたいと思ってしまった
1番奥のベッドで眠るアイツにはいくつもの管が繋がっていて服の下から見える細い腕からは何故か沢山の痣が見えてなんとも痛々しかった。
風の噂でアイツの親は毒親だと聞いたことがある。
ホリデーの時に帰っているはずだからその時にやられたのか
それともオレ以外にアイツをいじめた奴がいたのか。
呼吸器を付けてもなおアイツの息は小動物みたいに薄くまるで細い糸のようでオレは罪悪感に押し潰された。
少しでも目を離したら泡になって消えてしまいそうなほど儚いアイツがどうにも心配で毎日のように保健室へ通った。
1週間してアイツは目覚めた
助けたのはオレじゃなくてエルドって事にしてくれって。
なぜか頼んだ。
コイツの眠る顔を見て気付いたことがある。
オレやジェイド、アズールがまだ稚魚だった頃の話だ。
何の本を読んだのか、あの頃オレたちは今よりも陸に強く惹かれていた。
人が来ないであろう真夜中に何度も海辺へ向かっては人間の街を眺めた。
そしていつも、同じ時間帯に足繁くそこに通っている髪の長い少女も眺めていた。
いつからかオレたちは泳いでは海中で寝て溺れている彼女をバレないように助けるようになった。
オレたちには人間のような足は無かったからいつも海水がギリギリかからないような浜辺まで引っ張ることしか出来なかったが
目を合わせた事も、話したことすらも無いのに彼女の命だけはどうしても失いたくないと思っていた。
コイツはその時の少女にそっくりなのだ。
きっとそれはジェイドもアズールもとっくに気付いてるんだと思う。
いつもあの時の少女を見守っていた時のような眼差しをこの男に向けていたから、恐らく。
ようやく気付いた。
オレはコイツのことが嫌いなんじゃなくて
とてつもなく好きだと言う事に。
海中にいた頃も陸に上がった今も
オレの初恋はAのもので。
でも罪悪感のせいでそれを認められない。
オレはもう少しだけ、自分の気持ちに蓋をしようと思う。
A、まだ、嫌いなままでいさせて。
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おはぎとだんご(プロフ) - 面白かったです。移行楽しみにしてます (2021年8月13日 14時) (
レス) id: 1cc5216453 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - 現在はこちらの新しいアカウントで作品を続ける準備をしております。タイトルは変わらないと思いますのでお話をある程度書きましたらまたこちらでお知らせいたします。作品ページにあります他の作品につきましても原作改めて作成中でございますのでお待ちください (2021年6月7日 4時) (レス) id: 30e34f0135 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - こんにちは、、、お久しぶりでございます鴇です、、長らく更新停止してしまい申し訳ありません。実は機種変をしたのですがパスワードやら何やらを忘れるという大失態を犯しました、、 (2021年6月7日 4時) (レス) id: 30e34f0135 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - ふまさん» そうです、！続編へ移行するにあたり、最後のタイトルをいつも通りにするか悩んだのですが夢主くんの無意識に抱えている苦悩を表したいと思い、文字化けさせてあの文に致しました。 (2021年4月15日 23時) (レス) id: 1794e5cce6 (このIDを非表示/違反報告)
鴇(プロフ) - カクテルさん» お返事遅くなってしまってすみません、楽しみにしてて下さりありがとうございます、！後日、続編に移行致しますのでそちらも引き続き読んでいただけると幸いです。 (2021年4月15日 23時) (レス) id: 1794e5cce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鴇 | 作成日時：2021年2月6日 20時
