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「では、カウンセリングを受けさせるのはどうだろう」
「か、かうんせりんぐ!?」
長い沈黙が続き、そろそろ諦めたかと思った頃、伊黒先生は突然言った。
処罰の時点で薄々気づいてはいたが、やはり、この人は私に何かを負わせたいらしい。
次の手が来ることはちょっと予想してたけど、カウンセリングってどうよ。
「こいつは授業前も廊下でうろうろしていた。おまけに授業中も眠気に負けて寝る。これは精神力が足りないのと同じだと思わないのか?」
「いや、全然意味がわからな」
「そうか、精神力も大事だな!!」
「え、煉獄先生?」
急に上がった大声に戸惑って、煉獄先生を見る。彼は、まさにガッテン!という風に握り拳を作って頷いていた。
「強靭な精神を作るのには長くの鍛錬に限る!! カウンセリングというのは妙案だ!!」
「う、嘘でしょう! 納得しちゃったの!?」
煉獄先生の爽やかな決断に、微塵の悪気も私への戒めも無い事は分かっている。
分かってるけど、そこは納得しちゃ困ります!
あたふたするのも、もう遅く伊黒先生は、煉獄先生の同意を聞くなり、私を席から立たせた。
「では、今からにでも連れて行こう。
授業中に失礼したな」
「ちょ、ちょっと待ってください!!
そんなの絶対行きませんからぁ!」
「くどくど煩いさっさとついて来い」
「い、嫌だぁああああ!!!」
せめて、立ち上がらせてくれればいいのに、伊黒先生はそれすらも待ってはくれない。ずるずると皆の前で教室から引き出され、公開処刑もいいところだ。
ぴしゃりと目の前でドアが閉まる。
喚きながら、廊下を引きずられ、途中戸惑う他クラスの人の視線が痛かったが、そんなものは気にしていられなかった。
誰が、精神不安定者だこの野郎!!
そう思って、教師相手だというのも忘れて、ぼかすかグーで殴る。
しかし、一体何処から出しているのか、とんでもない力の強さに、必死の抵抗も虚しく、職員室前まで連れてこられた。
「入れ」
そう伊黒先生が示すのは、何だかよく分からん琵琶の音がじゃんじゃか鳴る部屋。
やだやだと高校生のプライドを無きにして、首を横に振れば、伊黒先生は額に青筋を浮かべた。
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