another 治の心情 ページ44
毎日昼に店に来るAが、初めて来なかった日
いつもの時間にけぇへんから何かあったんやないかって心配やった
ほかの常連さんにはこないな気持ちならへんのにな。
夜、休憩中に勢いよく扉を開ける音とAの声が聞こえて
慌てて事務所から飛び出したのを覚えてる。
そこに居たのは変わらぬ彼女で
今日も顔見れた、良かったってほっとした
ツムや角名と仲良うしとるん正直嫌やった
俺ん事好きなんちゃうんかって
ほかの男にそないな可愛ええ顔せんでって。
誰にでも笑顔振りまくし優しいし
変な男が寄ってくるんも時間の問題やん…
って思てたら、店の外で知らん男に言い寄られとるし
ほれ、言わんこっちゃない
俺が体調あんま良くなかった時
誰も気付かれへんかったのにAだけすぐ気づいてくれてやん。
あれ、ほんまに嬉しかった
この頃には多分、Aの事気になっとった。
せやから北さんと2人で店出てった時はめっちゃ焦ったし
めっちゃ嫉妬した。
次の日偶然、帰りにAと会えて嬉しかったし
俺に会えて喜んどるお前が愛しくてしゃーなかった。
俺の好きな所沢山言うてくれて
ああ、この子はちゃんと俺の事見てくれとるんやって
気持ちに応えたいって思った。
正直、ひとつひとつの表情や言動が可愛すぎて
どうにかなりそうやった
それでもずっと冷たくあしらってたのは
素直になってしもたら止まらなくなりそうやったし、
この頃から付きまとってるようになった元カノに
Aの存在がバレて何かされたら嫌やったから。
ちゃんとケリつけてからAと向き合いたかった。
その間にAがほかの男んところいってしもたらどないしよ、なんて思うて
わざとパーカー貸しっぱなしにしたり
話の続き今度聞かせてなんて言うて、会う口実作った。
ずるいよな、俺
ずっと曖昧な行動とって悩ませて
結果、俺の前から居なくなった。
数ヶ月、Aと会えへんくてからっぽやった
出掛けた日の帰り、あんなに
離れとうない、もっと一緒に居たいってって思うたん初めてやってん。
やのにもう会えへんのやろか、なんて思いながら
わざとAがよう通る夜の時間帯まで店におったら
外から声聞こえて慌てて追いかけた。
顔見たらもう止まらへんかった。
どこにも行かんといて、俺の事好きやって言うて、側にいてって。
ああ、俺この子が好きや。
また会えて、ほんまに良かった。
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作者名:OX | 作成日時:2021年8月27日 8時