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昨日の宮さんの“可愛ええんやから”って言葉に
意味は特にないんだと思う。
その証拠に、
『宮さん!今日も好きです付き合ってください』
「………………すんません」
眉ひとつ動かさずに、返ってくる聞き慣れた一言。
でも今日はめっちゃ間があった。めっちゃ沈黙だった。
絶対ありえないのに、一瞬期待しちゃったじゃない。
宮さんは本当に優しい人だ。
私が変に期待して傷つかないように
キッパリ断ってくれてるんじゃないかなって思うんだ。
そんな宮さんは今、わざわざカウンターから出てきて
3歳くらいの小さいお客様の目線に合わせてしゃがんで
飴ちゃんをプレゼントしている。
笑顔がとても癒されます。何あの癒しオブ癒し空間…
『うわあ…宮さん好きぃ…』
口から溢れ出た想いなんて今更隠すつもりもない。
「どうも」
私を見た瞬間スンッていつもの宮さんの顔に戻った。早い。
「おねーちゃん、」
『んー?どうしたの』
すると宮さんの方から私の方に駆け寄って来てくれた
小さいお客様。
目線を合わせるようにしゃがんで微笑みかける。めっちゃ嬉しい。可愛い。
宮さんとは違う感じのキュンで胸が締め付けられた。
「…あのね、えっとね、」
『うんうん』
女の子は照れてもじもじしながら
内緒話をするように小さい手を私の耳に近づけた。
「おにぎりやのおにーさんね、いつも飴くれるから、わたしもプレゼントもってきたんだけどね
おにーさんかっこいいから、はずかしくてわたせないの」
なんて可愛いの。なんて可愛いの。
こんな小さい子まで虜にしてしまう宮治さん。なんて罪な男なの。
なんで私に相談してくれたんだろ。今さっき喋ってた(一方的)からかな?
そんなのもちろん協力しよう。
『じゃあ、お姉さんが一緒にいってあげる』
「ほんとに?」
『うん』
抱っこ、と両手を差し伸べて来てくれた女の子。
その子のママに了承を得て、抱き上げた。
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作者名:OX | 作成日時:2021年8月27日 8時