15個 ページ15
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お客さんもちょうどはけてきていて
手の空いていた宮さんの方へ女の子を抱っこしたまま向かった。
『宮さん』
｢はい｣
『この子がね、渡したい物あるらしいですよ』
ほらほら、と女の子を促すと
ポケットから小さい包とお手紙を出して
宮さんの方へ手を伸ばした。
｢おー、なんやくれるん？｣
こちらへ近づき屈んで、それを受け取る宮さん。
初めてこんな近くに宮さん居るかもしれない。
｢嬉しいわぁ。おおきにな〜｣
女の子の頭を撫でる宮さん。照れる女の子と私。
『うっ…』
間近でこの笑顔、私に向けてじゃないって分かってても嬉しいし眩しいし直視できない。
｢えへへ、｣
『渡せてよかったね？』
女の子の耳元でコソッと言うと嬉しそうに｢うん！ありがとう｣と返してくれた。
多分今私の顔ゆるゆるだと思う。
｢おねーさんは、おにぎりやのおにーさんのこと
すきなの？｣
『え？！……あ………うん。す、好きだよ』
女の子の突然の質問に驚いて
答えたらなんだか恥ずかしくなって顔が熱い。
｢けっこんしたいっていう、すき？｣
『うん。結婚したいっていう、好き』
｢きゃあっ｣
もういいや。気持ちなんてバレてるから。
たぶん宮さんに聞こえてるけどいいや。女の子可愛いから。
『…でもね、』
今度は私が女の子に耳打ちする。
『お姉さんの片思い、なの。内緒だよ？』
｢えええっ！あたし、おねーさんおうえんする！｣
『え〜？ありがとう〜』
少しめげそうになっていましたが
AA、頑張ります。
ただ、宮さんをこれ以上困らせたくないので
『好き』と言う回数は、減らしたいと思います。
＿＿＿一方その頃、おにぎり宮のバックヤードでは
｢なんすか、あの可愛いオブ癒し空間。混ざりたい｣
｢…ああっ。渡辺くんおはようさん｣
｢おはようございます店長。
………なんやAさんって、最初は変な人や思たんすけど
可愛ええ方やし話しやすいし普通にええお客さんすよね。
まあ俺からしたら、ですけど｣
｢…………渡辺くん、いつから名前で呼ぶくらい仲良ぉなったん？｣
｢え？そらまあこんだけ店来てくれはったら打ち解けますわ…｣
｢…さよか｣
なんて会話が繰り広げられていた。
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作者名：OX | 作成日時：2021年8月27日 8時
