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42個 ページ42

私は、声を振り絞った




『……すき、だよ』



「…なら余計な事考えんと、これから先も俺だけ見とき」



『でも、だって、それじゃ、』



「でもとかだってとか喧しいなあ…ほんっまに」





ゆるっと顔を上げた治くんの熱を孕んだ瞳に、息を呑んだ。

そして彼の片手に両頬を掴まれ、次の瞬間___




『んぅ………っ、…え、ぁ、』



押し付けられるように、唇が重なった。







未だ状況が整理できていない私なんて置き去りに
治くんは耳元に顔を寄せ、囁く。




「俺も好きや、A」





腰に彼の片腕がぎゅうっとまわり
もう片手は、私の頬を撫で、そのままするりと髪を梳き、後頭部へ。






「付き合うてくれるか?俺と」




『…え、あ、待って、…うそ、え』








おでこ同士がコツンとくっつき、鼻先が触れ合う。





「…返事は?」



『は、い…おねがいしま、』


全身の力が抜け
ガクンと膝から崩れた




けど治くんが支えてくれたおかげで床に座り込む事はなかった





『こし、…ぬ、抜け……た、』



「ははっ、今からそんなんでこれからどないすんねん」





大好きな笑顔を浮かべてくれた彼が、涙でぼやける。

そんな私の頬を拭って優しく抱き締め
ゆっくりと椅子に座らせてくれた






『これドッキリ?今日エイプリルフールだっけ…ああそうか、今日は嘘ついていいひ痛ぁぁ!』



「ドッキリちゃうし4月なんてとうに過ぎとるやろが」



『しゅみまへんでひた』

両頬をぐりぐりと抓られて涙はひいたし、上手く喋れない


もうなんでもいい、全部幸せ。



















「…さっき通話の内容何となく聞いてしもたんやけど
東京帰るん?」




『会社倒産しちゃって、明日アパート引き払って戻ろうかなって思ってた所』




「なら家、来ぃや」




『え』




「やりたいことあんねやったら話は別やけど
そうやないなら俺ん家、住めばええやん。部屋余っとるし」




『それは…家賃折半したりとかもあるし、職探してから、』




「家賃なんて気にせんでええし
仕事は暫く失業手当貰いながらゆっくり探したらええ。
っちゅうか無理に働かんでも養ったる」




『…それは申し訳なさすぎる』




「なん?A、結婚しよ〜て言うてたやんか。
別に何も問題ないやろ?…あかんの?」







私の両手を握ってきゅるんと上目遣いな治くん。




こんな彼、私、知らない。


























___後日談へ続く

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設定タグ:宮治 , 宮侑 , ハイキュー   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:OX | 作成日時:2021年8月27日 8時

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