南沢王子に、『嫉妬』。【試し読み】

嫉妬。０４ ページ5

「……なんか、ろくでもねー男っすね、その彼氏」


「でしょー？」




とある放課後、
私が一人で悩んでいると、丁度倉間くんがやって来たので、愚痴を聞いてもらうことにした。


倉間くんは二年の情報なんてあまり知らないらしいので、
私と篤志が付き合ってることも知らない。

篤志と私の共通の後輩だから、彼氏の名前は出さないようにした。





「……俺、あんまりそういうのわからないけど、
愚痴くらいなら聞けるし、何かあったらいつでも相談とか乗ります」



「……え」




「俺じゃ頼りねーかもしれないっすけど、
聞くくらいなら出来るし、ストレスとかって吐いた方がいいと思うんで」





あまり素直じゃない彼だけど、
可愛くて優しくて、とてもいい子だ。


まあ、その「ろくでもない男」っていうのが、
自分の憧れてる先輩なんて、知る由も無いんだろうけど。





「ありがとう、ちょっと楽になったかも」



「いえ、あ、送ります？」




「ううん、教室で彼氏が待ってるから」



「そ……っすか。
気をつけて下さい」




私が手を振ると、倉間くんは軽くお辞儀をした。

相変わらず小さい背と体、背中に背負うカバンが大きく見える。
だけど、心はきっと成長してる。


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