飲酒禁止。

彼が酔ったら。なかま ページ46

〆．



『酔ったら彼、強引なんですよ〜』



「………………」



バラエティを流していたテレビの電源を切る。



酔ったら、か。



お生憎様、私も淳太も全く酔わない。



だから、酔ったらどうなるかなんて考えたこともなかった。



……私も酔えたら、可愛かったのかなぁ。



一度新入社員の子と淳太と三人で飲みに行って、可愛い酔い方に憧れたっけ。



あの時は、あの子が淳太の事好きって聞いてたし、私も好きだけど応援しなきゃって思ってたんだよね。



あー、なつかし。



………うーん、酔った淳太、見てみたいな。



実際に見ることは出来ないから、脳内で妄想してみる。



多分、色っぽい。



いつも以上に意地悪になったりするのかな。



それとも、オスの本能目覚めちゃうとか……。



「って、そっち系ばっかじゃん！？」



もっと純粋な妄想できないの！？私は！！



「ん？Aどうした？」



コーヒー片手に微笑む彼。



ああ、やっぱ変な妄想するより、こうして見てる方がいいな。



「淳太が酔ったらどうなるんだろ、って考えてた」



「俺？あー、ほんまやな、どうなるんやろ？」



考えてもわかんないし、と違う話題を探していると、私の頬に淳太の手が触れた。



「予想しよかな。例えば、キスが増えると思う」



「ちょっ………ん、」



「いつもせんことまで、してまうかもな」



彼の唇は、私の唇から手の指先に移動する。



「ね、ねえ！」



はずかしさのあまり止めようとするのに、淳太はお構い無し。



「………まあ一つ言えんのはさ」



淳太って、こんなに艶っぽい目するんだ……。



「酔ってても、酔ってなくても、俺はAのこと求めるんやろうなって」



「………………ふ、ふーん」



「愛してんで」



「きゅ、急になに…」



「Aは？」



「私………は…」



淳太のあほ。唇おばけ。



「……愛してるよ」



「ん、知ってる」



なんやねん！！



淳太が酔ったら、なんて一生考えんとこ。



「えー？妄想してや、俺のこと」



「せんから！！」



〆．

彼が酔ったら。ふじい→←彼が酔ったら。はまだ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す