飲酒禁止。

甘えんぼ。 ページ39

〆．



いくら好きなやつのあんな姿見たからと言って、普通やったらここまで動揺せん。



………せん、のかな。



いやいや。ちゃうくて。



Aは、普段しっかりしてて、俺はそれに甘えてた。



何かあればすぐAのとこに行ったし、相談も愚痴もぜーんぶAに聞いて貰ってた。



一方、Aはそれを聞いて的確な答えを返してくれて、終わり。



Aから甘えられるなんてまあなかったんよ。



それがいきなり、こんな……。



酔ったから？両想いやから？



どっちにしても、俺は嬉しくて、あと慣れてなくて、感情がごっちゃやねん。



「あれ、大毅、Aちゃんは？」



リビングに行くと、おかんとおとん、Aの両親がケラケラ笑いながらテレビ見てた。



「あー、ちょっと。水二つちょうだい」



「酔ったん？Aちゃんも？Aちゃんお父さん似なんかなぁ」



「あれは下戸やん。Aは酔って……ちょっと」



「なに？………ははーん、大毅、Aちゃんの普段とちゃう姿に照れてんねや？」



「はぁっ！？あ、あほか！ちゃうし！！」



両親に一度に攻撃され、図星過ぎて声が裏返る。



めっちゃ笑われた。



「大毅くん、Aのことよろしくねぇー」



「……任せといて！」



一生よろしくしたる。



水をコップ二杯持って、また部屋に戻る。



Aは俺のベッドの上ですやすやと寝ていた。



「A〜水飲も？」



「……………………」



無防備ってこういうことなんかなー。



「ほんま、かわい」



顔にかかる前髪をさらりとのけてやると、くすぐったそうに笑う。



ずっと、片想いしてて良かった。



これからはどんどん俺に甘えてこい！



これ以上ないほどに甘やかしたるわ。



「なーあー、A〜？」



「……大毅、」



むくっと起き上がったAは、テーブルに置かれた水を見て、ふにゃっと笑う。



「お水、持ってきてくれたん？ありがと」



お礼のちゅー、って可愛らしく言うてから、一瞬唇を奪われる。



「…………っ、お前はほんまに、」



「はい、飲んで？」



「わ、」



コップを押し付けられ、大人しく受け取る。



とりあえず素直に飲んどいたら、Aがまた笑った。



〆．

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