可愛い妹05 ページ25
クラウス様が私の事で怒って下さるなんて、思いもしなかった。
思いもしなかったけど、国王様が急にクリス様のお部屋にお越しになったのが一番驚いた。
カーテシーを見事に決め、国王様に頭を垂れる。
レオ兄様に誉めて貰ったから、ばっちりの筈。
「アリスではないか。久しいな」
「お久し振りです、国王様。お元気そうで何よりです」
「どうしたのですか、父上。急なお越しで」
国王様は私に顔を上げるよう言い、私の前にしゃがんだ。
…しゃがんだ!?
「アリス、有らぬ噂が蔓延しているのは聞いておるな?」
私が我儘で自分勝手な令嬢だと、そう言う噂の事よね?
「はい。お兄様とクラウス様から、聞きました」
「――王妃にも伝えてある。アリスよ、子供のお主に言う事ではないが…この婚約もなかった事に出来る。…どうする?」
驚いた。 国王様からそんな事を言われるなんて。
クラウス様も驚いて、目を見開いている。
クラウス様自身は、解消する気は全くないだろうけど。
私も、今の所好きな人が居る訳でもないし、作ろうとも思わない。
クラウス様は好きだけれど、今はお友達としてだから。
今後はどうなるかなんて、誰にもわからないしね。
「いいえ、国王様。婚約はそのままでお願いします」
「何故か聞いても?」
興味深そうに、それでいて私の考えを見抜こうとする視線に、もう一度姿勢を正す。
「はい。…今は、言わせておこう思いまして。私は国王様の、人を見る目を信じています。お父様の事も、私の事も、国王様の目でお決めになった事ですから。私は、そんな貴方様を信じています。だって、クラウス様のお父様ですから」
「アリス…」
クラウス様は国王様が見ているにも関わらず、私を抱き締めた。
国王様は、おやおやと微笑ましそうに私たちを見ている。
驚いて固まった私を余所に、少し身体を離して国王様に向き直るクラウス様。
「父上、アリスの事は、僕が守ります!」
そう国王様に宣言なさったクラウス様は、子供と言うより、大人そのものだと感じた。
「クラウス様…」
私を守って下さる事で、不名誉な事を言われるかもしれない。
それでも、私を守って下さると言うのですか?
――ならば私は、貴方様を信じて付いていきます。
悪役令嬢としての断罪イベントなんて、二人を味方に付けてれば怖くないもの。
「クラウス様、私の事は大丈夫ですから。ご自分の事を守って下さいね」
クラウス様はきょとんとなさったけど、笑顔で首を振った。
何故、其処まで…。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時