検索窓
今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:589 hit

第8話【秘密】 ページ10

.





私は苛立ちのこもった瞳で、ましろくんを見据える。また、いい加減なことを言うつもりなのだろうか?

「今は、まだ、話せません・・・僕のこと。」

彼の言葉はやけに真剣で、何かあるのだと、そう確信してしまう不思議な重さを持っていた。

『“今は”・・・?』

私は小さな声で、彼の言葉を繰り返す。
今は話せない、ということは・・・いつかは話してくれるのかな・・・?

「僕も、色々あるんです」

そう言って儚げに笑うましろくん。まるで静かな湖のほとりに咲いた、一輪の花のような・・・そんな儚さを感じた。

『────・・・わかった』

私は少しの逡巡のあと、そう呟く。
そして、彼の瞳を見つめながら、こう続けた。

『でも・・・“いつか”、必ず話してね。その時まで、私、待つから。いつまでも、待ってるから』

ましろくんは、驚いたように目を見開いてから、どこかほっとしたような顔付きで、ふわりと笑った。

「ありがとうござます、誉希さん」

この時、やっぱり、すごく綺麗だなぁ・・・なんて思っていたことは、彼には内緒。




.

第9話【仕事】→←第7話【質問タイム】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:オリジナル , 智弥 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:智弥 | 作成日時:2018年10月22日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。