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第8話【秘密】 ページ10
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私は苛立ちのこもった瞳で、ましろくんを見据える。また、いい加減なことを言うつもりなのだろうか?
「今は、まだ、話せません・・・僕のこと。」
彼の言葉はやけに真剣で、何かあるのだと、そう確信してしまう不思議な重さを持っていた。
『“今は”・・・?』
私は小さな声で、彼の言葉を繰り返す。
今は話せない、ということは・・・いつかは話してくれるのかな・・・?
「僕も、色々あるんです」
そう言って儚げに笑うましろくん。まるで静かな湖のほとりに咲いた、一輪の花のような・・・そんな儚さを感じた。
『────・・・わかった』
私は少しの逡巡のあと、そう呟く。
そして、彼の瞳を見つめながら、こう続けた。
『でも・・・“いつか”、必ず話してね。その時まで、私、待つから。いつまでも、待ってるから』
ましろくんは、驚いたように目を見開いてから、どこかほっとしたような顔付きで、ふわりと笑った。
「ありがとうござます、誉希さん」
この時、やっぱり、すごく綺麗だなぁ・・・なんて思っていたことは、彼には内緒。
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作者名:智弥 | 作成日時:2018年10月22日 3時