魅惑劇 (ページ10)

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「珈琲とココア、どっちがええ？」

「じゃあココアで、」

「ちょっとまっててな」

自分だけど1階に降りてふぅ、と息を吐く。

部屋はある程度片付いてたおかげで無事自分の部屋に上げることが出来た、が。

ここからが問題。

自分用の珈琲とAちゃんのココアを持って階段を上る前に、またふぅ、と一呼吸する。

「お待たせ、」

そう言って、こぼれんようにAちゃんの隣にコップを置く。

「わざわざすみません、ありがとうございます」

そう言ってふーふーしながらココアを飲む彼女の姿が愛おしく思えた。

「…それ、いつも使ってるカメラやね」

ふと視界に入り、Aちゃんが愛用しているカメラのことについてふれる。

「そうです、写真、見ますか？」

「見る！」

彼女の目線からは、俺達は、俺は、どのように映っているんやろうか。

「…画質ええなぁ」

「そりゃあ一眼レフですからね」

どれも綺麗に撮れていて、ライブのは何枚かLINEのグループなどで送ってくれるんやけど、普段の練習風景などを写真で見るのは初めてやった。

写真を見終わり、Aちゃんがカメラをいじっているのを横目に、俺は話しかけた。

「なぁAちゃん」

「なんですか？」

あの日から、ずっと気になっていた。

今日聞こうって、決心した。

「単刀直入に聞くけど…あきらと、……付き合ってるん？」