One More Kiss【神谷健太】

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健太 side






今、Aは樹の家でなにしてるんだろう


樹が仕事が終わって帰ったら、ただいまのちゅーとかするの？
そりゃないか、付き合ってないもんね

樹が寝るときは､Aは隣で寝るの？
...あり得るね。お互いベッドを譲ったあとに出た結論で

樹が食べるごはんは、Aが作ってあげるの？
いやだな、けんただけが知ってる味だったのに





健太「...はぁ」


山彰「そんな負のオーラ出さないでくれる？笑」


健太「むり、けんたもうむり」


山彰「なんでそんな弱ってんの？」


健太「...生き甲斐を取られた」


山彰「生き甲斐？」


健太「うん。妹。すっごくかわいくて、天使みたいな妹」


山彰「へー、妹を樹にねぇ」


健太「...なんで樹ってわかったの」


山彰「そりゃあんなピリピリしてたらわかるわ！」




ピリピリ、ね...

仕事にプライベート持ち込んじゃダメってわかってるけど
このままの状態で樹と関わるのは厳しいな


樹を見ると、悔しさと怒りと悲しみが混ざって苦しくなる

それに、思い出すんだよね


あの日のこと､あの日のキスのこと




とろけちゃうほど柔らかい唇
舌が触れるとビクつく肩
0の距離で交わる吐息
近すぎてぼやける視線

全部、新鮮にフラッシュバックしてくる


もう一回したいな、キス

できないけど、お兄ちゃんだし
お兄ちゃんだから、拒まれるし


そう思ったら苦しいや



結局､なにしたって今は苦しい



"お兄ちゃん"

なんて、そんな肩書きぶち壊しちゃえば
きっと「好き」って何度も言えて楽なのに


でも"お兄ちゃん"っていう肩書きは
一生けんたについてくるからさ



やっぱり苦しいや

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