景色の話 ページ6
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途中から目隠しをされて私はゾムさんに運ばれていた
「ゾムさん、今はどこを歩いているですか?」
「ん、あぁ。今は商店街におるで。昼と違って夜になるとここは人が誰もおらんくなるからな。ええ散歩コースや」
夜をよく知るゾムさんは、あの日から私を色んな場所へ連れて行ってくれた。不気味な路地や蛍の光で包まれた公園、人の気配のない夜の学校
どこかへ向かう道中はゾムさん以外の人を見ることがなくて、私の弱った心をよく支えてくれた
「Aは俺と趣味が合うみたいやから、きっとあの場所も気に入ると思うねん」
「連れて行ってくれている場所ですか?」
「うん」
階段を上るように大きく動いているゾムさんは私の身体に負担をかけないように腕を動かさずに動いていた
さすがに申し訳ない
「ゾムさん、あの自分で歩きますよ」
「ん、ええって。もう五歩で着くしな」
「ご、五歩って」
「ほら、着いた」
優しげな声と共に地面に下ろされる。目隠しを外された先にはあの日に見た景色を思い出すような美しさが広がっていた
ゾムさんと見る夜景色はいつも綺麗で楽しいものが多かったけど、この景色はお化けビルで見た景色にとても似ていた
「"ええ場所"やろ、ここは?」
「…はい、凄く"ええ場所"です」
「んふふ。ゆるっゆるやなぁ、顔」
街から少し離れた小さな山。展望台のような場所から見る景色は凄く綺麗で泣きそうになった。でも、隣にゾムさんがいるから我慢、我慢。
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どこまでもドア(プロフ) - 文章がとっても綺麗です。他の作品も凄く素敵で、お気に入り作者の登録を失礼させていただきました。これからも応援しています。 (2020年3月21日 2時) (レス) id: 8785b7590e (このIDを非表示/違反報告)
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