幕は何度も ページ47
「Aさん！」
顔面に墨の円と罰印をこさえた敦君が声を掛けてきた。
「敦君。……顔が愉快な事になってるね」
後ろではこれまた墨をこさえたＱちゃんが鏡花ちゃんに羽根つきのコツを教わっていた。お姉ちゃん(自称)、ニコニコである。
織田作さんは既に席を外しているようだ。
「鏡花ちゃん、本当に強くて……あはは……」
敦君は人差し指で頬をぽりぽりと掻く。
「あの子、動体視力も反射もいいからね。勝つのは難しいよ。それで、如何かしたの？」
敦君は「あっ」と小さく漏らすと、姿勢を正した。
「改めて感謝を伝えたくて。Aさんには沢山助けられましたから。有難う御座いました」
深々と頭を下げられてしまった。
「いえいえ。最終的にこの戦争を終わらせてくれたのは敦君達だし。有難うね」
私は近くの空き椅子を引いてきて敦君に座るよう促した。敦君は頭をぺこりと下げて座った。
「却説、訊きたい事でもあるのかな？」
「！」
敦君は目を瞬かせる。
「よくお分かりで……」
「これでも、あの兄の妹だからね」
太宰さんのように『何もかも想定済み』とまではいかない旨を付け加えると、敦君は何処か安心したような表情をしていた。そりゃそうだ。あんなのに周囲を固められたら生きていける気がしない。骸砦組レベルの天才達に囲まれるとかある種の地獄だろう、と非常に失礼な事を考えた。彼等の
「ええと、芥川について訊きたくて」
「芥川君？」
「はい。組合の団長に手も足も出ずに倒れていた時……『立て人虎、立って
私は続きを促す。
「『僕は貴様の信条を嗤うことはせぬ。だが人虎、貴様が己が古傷に甘え続ける限り、貴様は愚物の侭だ』とも。僕には、彼奴の言葉は励ましにも聞こえたんです。その時に僕は、芥川が何故力を誇示し続けることに拘るのか訊いて……。通信機を投げてからの芥川、何故か……その」
敦君は云い淀む。この先を云って良いのか分からないといった様子だ。だが、敦君は腹を決めたのか、しっかり私の方を見た。
「Aさんの面影を感じたんです」
「成程ね」
私は目を閉じた。
瞼の裏に、痩せこけた少年と、蓬髪の小さな女児がいた。
その二人の視線の先には、包帯塗れの黒外套がいた。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
