救済を待つ３ ページ33
家で認められない私が外で認められるはずがなかった。
学校では虐めの標的にされた事もあった。暴言吐かれたり、所持品を壊されたり。
虐めってのはね、虐めっ子より強い人に対しては起きない。それに、虐めっ子の機嫌を損ねなければ基本的に何も起きないんだ。
私は標的にされないような上手い立ち回りができるほど頭が良くなかった。だから同級生を虐めっ子にしてしまった。私が至らない所為で他人を攻撃させてしまった。駄目な私はどこに行っても駄目なんだよ。
だからね、思ったんだ。「誰かを助ければ、こんな私でも生きてていいって認められるのではないか」「誰かを助けて死んだら、生きててよかったって思われるのではないか」って。
*
「Aさんの所為じゃない……それに、誰にだって存在を否定されていい理由なんてない！」
敦君は唇を震わせていた。
「有難う……でもね、ずっと云われ続けてきた事って、最早呪いなんだよ。確かに一度死んでからはある程度ましになったし、私の意見を否定する人は私自身を否定している訳では無いと心でも理解出来るようになった。でも……それでも断ち切れない、ずっと私を逃がしてはくれない鎖だ。敦君も、覚えはあるだろう？」
私が云えば敦君はびくりと肩を震わせた。
敦君は私の後ろを見た。
敦君の目には、かつて居た孤児院の院長が見えているのだろう。
「敦君も本当は、自分の命を擲ってまでしなくても認められているとは判っている筈だ。でも、ついやっちゃうよね」
敦君は俯いて、蚊の鳴くような声で「はい」と返した。
「私も今は本当に恵まれているし、愛されている実感もある。でも根底にあるものは、新しく十五年生きても変わらない」
会議室の中は時間を刻む音だけが響いていた。会議室内はあまりにも静かで、外からの忙しない足音が聞こえる程だった。
「私達みたいな自己否定の塊は何を求めるか。敦君にはよく判るよね」
私が訊けば、敦君はまた俯いてから私を見た。
「誰かに、認められる事」
私はゆっくりと頷いた。
「私はこの世界に生まれたことで肯定された。でもこの世界にはまだ私みたいに助けを求めている人が沢山いる。こういった自己否定という名の呪いの鎖は他人が触れてやっと緩む。私のそれに触れてくれたように、私は誰かを救いたい」
私は敦君に通信機を手渡した。
「！」
「これが、私が危険を犯してでも支えた理由だ」
敦君は通信機を包む様に受け取った。
「――私が君を肯定するよ。行っておいで」
「……はい！」
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
