更めてわれを目覚ますことなかれ ページ24
「生憎だね。ああなったラヴクラフトを外部から破壊する手段なんて存在しない」
太宰さんはその言葉に勝機を得たとばかりに顔を上げた。
「“外部から”？ つまり内部からの攻撃は効く訳だ」
オーボエのような声を上げ続ける異形の中に、太宰さんのギプスがあった。
太宰さんはスイッチを押す。口許は歪んでいた。
短い電子音の後に、閃光と衝撃音がした。
異形からは悲鳴のような声がし、甲羅のようなものに亀裂が入った。
中也さんは自身の何倍もある巨大な暗黒空間を手にしていた。
太宰さんは悪戯っ子の様な、少年のような笑みを浮かべていた。
「やっちまえ、中也」
爆風から自分を庇う。腕を下げれば、中也さんが暗黒空間を投げた先にクレーターが出来ているのがわかった。小さな擂鉢街だ。
煙から出て来た中也さんの足元には紅い染みが出来ていた。それを踏み付け中也さんは歩き続ける。周囲を破壊しながら。地割れが幾つもあった。中也さんは嗤い声を上げながらまた重力子を新たに創り出した。
その腕を掴む者があった。
「敵は消滅した。もう休め、中也」
太宰さんが掴んだところから、紋が消えていった。
正気を取り戻した中也さんは膝をついた。中也さんは咳き込んでいる。
「この……糞太宰……。終わったら直ぐ……止めろっつうの……」
咳き込む度に血が地面に染みを作る。
「もう少し早く止められたけど、面白くて見てた」
中也さんは太宰さんを睨み付けると、
「手前を信用して……『汚濁』を使ったんだ……。ちゃんと俺を、拠点まで……送り届けろよ……」
拳を太宰さんの胸元にトンと押し付けた。
「任せなよ、相棒」
その言葉に中也さんは眠りに落ちた。
その様子を見ていたスタインベックが、よろよろと歩く。私が横で拳銃を向けている事も意識の外のようだ。
「信じられない……あのラヴクラフトが……。君達は一体」
太宰さんは攻撃する様子もないスタインベックを見ると、傷だらけの顔で優しげな笑みを浮かべた。
「悪い奴の敵さ」
「取り敢えず、木に括り付けておけば良いですかね」
「そこまでしなくてもいいと思うけどね。此方を攻撃する意思は無いだろうし」
「Ｑちゃんは木に取り込まれていましたから妥当かと」
「だから君はＱの過激派なのかい？」
私が縄をスタインベックに巻き付けて木まで引き摺っていると、太宰さんは両掌を上に向けて溜息を吐いた。スタインベックはされるがままにずるずると引き摺られていた。
その時、視界が歪んだ。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
