汚濁の許容よ ページ23
「う……」
スタインベックが呻き声を漏らしながら意識を取り戻した。彼の視界には、二柱の神が居た。油を差されていないブリキの
「何だ、あれは……」
と呆然と呟いた。
その背後から太宰さんが短刀を首元に突き付ける。
「知りたいかい、組合の働き蟻君」
「！」
気配も無くされたそれに、スタインベックは息を飲んだ。それに構わず太宰さんは続ける。
「あれが中也の異能の本当の姿だよ」
中也さんを見れば、朱殷の紋が首元から呑み込むように刻まれていた。
『汚濁』。
『荒覇吐』を人の身に降ろした姿は、最早人では無く。
目にも止まらぬ動きで、旧神の躰が削られる。畳み掛けるように黒い球体が投げられ、轟音と共に弾けた。
「あれ、は……」
矢張り、生で見ると凄まじい事が判る。原作やアニメでも迫力はあれど、ここまで激しい物だとは。私に語彙力があれば適切な言葉で表現出来たのだろうが。只々、凄まじいとしか云えない。
「Aも見た事が無いだろう。初めて『汚濁』を使った時、森さんはAを作戦に参加させなかったからねえ」
首領の幼女趣味に救われたのだと暗に告げられ、私は複雑な心境だった。
「中也の『汚濁』形態は周囲の重力子を操る。自身の質量密度を増大させ、戦車すら素手で砕く。圧縮した重力子弾は凡百質量を呑み込む
ラヴクラフトの躰の五分の一程が消し飛んでいた。
「但し本人は制御出来ず、力を使い果たして死ぬまで暴れ続けるけどね」
「と云う事は、負担もかなり……」
「うん、短期決戦向けの形態だよ。長期戦になればまず死ぬ。『汚濁』を使わせるのは非情な決断だ。だから中也はAには教えなかったのだろうね」
「私の手を、汚させない為に」
悲しみを汚させない為、か。優しいな。
「……もう一人の兄を名乗るだけある」
太宰さんは不貞腐れたように呟いた。
中也さんがラヴクラフトの躰を削る度、ラヴクラフトの躰は敦君の虎のように即座に再生する。
「しかし……あれは一体何だい？ 中也が幾ら削っても即座に再生している。相棒の君なら、あれの正体を知っているんじゃないかな？」
太宰さんは短刀の刃を傾けながら問う。スタインベックは目を閉じた。
「ふん、さてね……。仮に知っていても教える訳ないだろ」
中也さんは黒い球体を創り出す。その口からは紅い血が溢れていた。
「拙いな、中也の躰が保たない」
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
