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「私の唯一の慴れは、君が狙いを外すことだ。狙うべきは心臓が頭。お勧めは頭だ。
太宰さんはどんどん近付く。
「さあ撃て。ここだ。この距離なら大丈夫さ。撃っても撃たなくても、君は殺される。なら最後に敵幹部を葬ってみせろ」
「太宰!」
「頼むよ。私を一緒に連れて行ってくれ。
狙撃手が唇を嚙んだところで、私も拳銃に手を掛けた。
私は撃とうと動く織田作さんを退けた。
「――バン」
私と狙撃手はほぼ同時に撃った。
銃ごと手を撃ち抜かれた狙撃手は衝撃で回転し、至近距離から額を撃たれた太宰さんは大きく仰け反った。
そこからは早かった。太宰さんの部下が一斉に銃弾を浴びせ、狙撃手はまた朱を撒き散らして息絶えた。
織田作さんの弾は不発。
織田作さんの代わりに、私が撃った。
「………………………………残念だよ。また死ねなかった」
血が太宰さんの頭の包帯をじわじわと朱に染める。
「悪いね、吃驚させて。迫真の演技だったろう? あいつが外すことは判っていたのさ。最初からね。狙撃銃の跡は左頬についていただろう? 狙撃銃を左側に構えていたって事だ。つまり彼は左利きで。でも拳銃は右手に持っていた。利き腕ではないほうの腕で、まともに立てないほどふらついた状態で、おまけにあの旧式の拳銃で一発きりとなれば、銃口を体に押しつけでもしない限り中らないよ。あとは会話で時間を稼いで、奴の腕が疲れるのを待つ。ゆっくり近寄れば奴はすぐには撃たない。あとは織田作が何とかしてくれる。そう踏んだのさ。合理的だろう?」
「そうだな」
織田作さんはこれだけ云った。
太宰さんは私をちらりと見てこう付け加えた。
「結局それは未遂に終わったけど」
「織田作さんの手を煩わせるまでもなかったのでね。事実、怯ませさえすれば太宰幹部殿、貴方の部下が如何にかしたでしょう?」
私はそれだけ云い、すぐに背を向けた。
今、太宰さんがどんな表情をしているかなんて、どうでもよかった。
あの、敵に近付く時の太宰さんの泣き出す寸前の子供のような表情が、私より年下のような子供がする表情が、やけに目の裏に焼き付いた。
紛れも無く、現実だった。
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サングリア - いえのきあさん» 判りました!定期考査頑張って下さい。私も今日から考査です…(´-ω-`) (2018年11月27日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
いえのきあ(プロフ) - サングリアさん» ありがとうございます!今はテストや課題があってなかなか更新できませんが頑張ります!終わりのセラフもテスト終わったらぼちぼち買うので、お待ちくださいませ! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 75f23159f6 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 黒の時代…更新頑張って下さい! (2018年11月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 長くてすみません…(´-ω-`)出来たら2つ宜しくお願いします!更新頑張って下さい (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - クルル、クローリーなどの上位吸血鬼に気に入られて心配される。吸血鬼にしようとしている。渚は四鎌童子、アシェラに出会い、話をしたことがある。四鎌童子と一緒に3年間行動した。渚はその事を覚えていない。かなり謎に包まれた渚の過去 (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢秋 | 作成日時:2018年2月10日 2時