関わったら見過ごせない ページ33
一度関わってしまった人を見殺しにするのは精神的に堪えるものだ。
赤の他人のままだったら助けられなくても自分に言い訳出来るのに。関わらなかったんだから助ける理由なんてないって。
私は心の中に、強がりながらそう零した。
「ところで、私と織田作さんは初対面ですよね。これも何かの縁です」
私はよろしくお願いしますと云いながら名刺を渡した。上質な紙だ。桜の花の焼印が入っている。『桜桃』の印だ。
「此方こそよろしくお願い致します、太宰準幹部」
織田作は丁寧な手つきで名刺を仕舞った。
「敬語なんて
織田作は少し迷ったようだが、
「分かった」
と返してくれた。
「有難う御座います。私の事は、其の儘『A』とでもお呼び下さい」
*
首領の目的は、『異能開業許可証』と『太宰治の追放』だ。
それなら、態々織田作が死なずとも何とかなるだろうか。
だが、それは難易度が高い。
私は異能を持っておらず『ミミック』の相手は厳しいだろう――まだ発現していないだけかもしれないが。BEASTの太宰さんも云っていた。織田作のいない組織でミミックの相手は大変だったと。
それに、私一人には特務課を動かす程の力は無い。
他にも問題点はある。
そう、その後の物語についてだ。
太宰さんは織田作の遺言が切っ掛けで探偵社に入る。
仮令ば私が織田作の身代わりになったところで、太宰さんは探偵社に入るか?
織田作の言葉は自分を見てくれた友人の言葉。
私の言葉は血の繋がりがあるだけの人間の言葉。
この違いを見ればその可能性はかなり薄いと誰でも判る。
太宰さんが所謂『強くてニューゲーム』だったら助けられるだろうが、そんな事はない。
私が見る限りそんな様子は全く無かった。
これから如何すれば良いのだろう。
私は今日の事を日記に書き、パタンと閉じた。
インクまだ乾いてないのにやってしまった、だなんて溜息を吐きながら、私はベッドに躯を滑り込ませた。
掛布団は、やけにひんやりしていて重かった。
638人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
【文スト】三者鼎立? 知ってたよ、此の野郎←【文豪ストレイドッグス】【太宰治】...
場地(妹)は超生物の生徒 II
もっと見る
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サングリア - いえのきあさん» 判りました!定期考査頑張って下さい。私も今日から考査です…(´-ω-`) (2018年11月27日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
いえのきあ(プロフ) - サングリアさん» ありがとうございます!今はテストや課題があってなかなか更新できませんが頑張ります!終わりのセラフもテスト終わったらぼちぼち買うので、お待ちくださいませ! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 75f23159f6 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 黒の時代…更新頑張って下さい! (2018年11月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 長くてすみません…(´-ω-`)出来たら2つ宜しくお願いします!更新頑張って下さい (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - クルル、クローリーなどの上位吸血鬼に気に入られて心配される。吸血鬼にしようとしている。渚は四鎌童子、アシェラに出会い、話をしたことがある。四鎌童子と一緒に3年間行動した。渚はその事を覚えていない。かなり謎に包まれた渚の過去 (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢秋 | 作成日時:2018年2月10日 2時