違和感 ページ30
また一口飲むと、炭酸の刺激の所為か脳内がハッキリとしたような気がした。
違和感に気付いたのだ。
先程の太宰さんの発言の
如何して忘れていたんだ、こんなにも大切な事を。『黒の時代』に突入した時点で思い出すべきだった。
「未だ間に合うか――?」
私は思わず口に出していた事に気付いたが、誰も聞こえていない様だった。私はほっと安堵の息を吐いた。
「そう云えば」
太宰さんは何もない場所を見詰めながら、ふと呟いた。
「私達三人が此処で飲むようになって久しいけど、織田作の仕事の愚痴ってあまり聞かないなあ」
「そうですね。僕や太宰君やAさんと違って、織田作さんの業務は少し特殊ですから」
「特殊な訳ではない」
と織田作は首を振った。
「単に語る価値がないだけだ。聞いてもおもしろくない」
「まあたそうやって隠す」
太宰さんは不満そうに顔を傾けたが、私は其の姿を久しぶりに見た気がして沁々とした。
「はっきり云って、この四人の中で織田作の仕事の話が一番面白いのだからね。白状して貰おうか。この一週間で、どんな仕事をした?」
「私も気になります。『
多分それはドロドロした話だったからなんだろうけど。
私もそう云うと、織田作は指を折りながら答えた。
「マフィア傘下の商店街で起きた盗難事件の調査。近所の小学生が犯人だった。それから拳銃を紛失したと云う系列組織のチンピラと、そいつの自宅を掃除。炊飯釜の中で見つかった。続いてフロント企業の役員が、愛人と妻に挟まれて修羅場だったのを仲裁。あとはマフィア事務所の裏手で見つかった不発弾の処理」
「成程」と、私が勝手に一人で納得した素振りを見せていると、太宰さんが身を乗り出した。
しかも目を輝かせながら。
「ねえ織田作、真剣に頼むのだけど、私と仕事交換しない?」
「無理だろう」
「だって不発弾だよ! 安吾、聞いた? どうして織田作ばっかりそんな面白い仕事が回ってくるのさ? 不公平だ! 明日首領に、不発弾の処理もさせてもらえない幹部だなんて辞めてやる、って直談判しよう!」
安吾さんはいつもの事だからか、「そうですね」と適当に頷いていた。
とうとう安吾さんがツッコミを放棄した。
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サングリア - いえのきあさん» 判りました!定期考査頑張って下さい。私も今日から考査です…(´-ω-`) (2018年11月27日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
いえのきあ(プロフ) - サングリアさん» ありがとうございます!今はテストや課題があってなかなか更新できませんが頑張ります!終わりのセラフもテスト終わったらぼちぼち買うので、お待ちくださいませ! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 75f23159f6 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 黒の時代…更新頑張って下さい! (2018年11月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 長くてすみません…(´-ω-`)出来たら2つ宜しくお願いします!更新頑張って下さい (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - クルル、クローリーなどの上位吸血鬼に気に入られて心配される。吸血鬼にしようとしている。渚は四鎌童子、アシェラに出会い、話をしたことがある。四鎌童子と一緒に3年間行動した。渚はその事を覚えていない。かなり謎に包まれた渚の過去 (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢秋 | 作成日時:2018年2月10日 2時