【文スト】知ってたよ、此の野郎←【文豪ストレイドッグス】【太宰治】

思考の歪みとズレ ページ26

「囮作戦でね。ことの発端は、私達の密輸品受け渡しを、どこぞの愉快な連中が邪魔して横取りしたがってる、なんて情報を掴んだ事だ。私達の飯の種を横からかっさらおうなんて、嬉しくさせてくれる連中だよ。これはさぞや威風堂々たる益荒男が来るだろうと思って、わくわくしながら待ち伏せしたのさ。うまくいけば壮絶なる戦死だ。ところが現れたのは五円玉みたいにぱっとしない銃運びさんたちが十数名ときた。虎の子と云えるのは機銃つき幌車に手提げ榴弾砲。がっかりしたから倉庫で罠を張って包囲攻撃をしたら、泣きながら逃げていったよ。おかげでまた死にそびれた。詰まらないなあ」


うわあ、長い台詞だなあ。
夢小説で黒の時代編書く時、よくこんな長台詞いれたな、私。
今思えば、長すぎて多分読者様は読み飛ばしてただろうね。原作にも此の台詞は有るし。
それにしてもぱっとしないとか云われて、五円玉が可哀想。五円玉は手品によく使うのに！ ほら、綾取りとか。

「その連中はどこの組織だった？」
「うちの元気っ子達が逃げそびれた奴を捕虜室で小突き回しているから、直に吐くんじゃないかな」
本当に物騒だな。まあ、今更だけど。
それに、元々関係無い人についてはぶっちゃけて云うとどうでもいいし、知らない人に同情する義理なんて持ち合わせてない。
冷たい？ 人間性が歪んでる？ 自覚はしているよ。

「また傷が増えたな」
「増えたねえ」
この頃は普通に怪我してるし、包帯無駄遣い装置じゃないんだよな。それでも過剰だが。
「その脚の怪我の理由は？」
「『不意の怪我をしないために』っていう本を歩きながら読んでいたら、排水溝に落ちた」
不意の怪我である。
「ではその腕の怪我は？」
「車で峠をぶっ飛ばしていて崖から落ちた」
お前が運転する車には死んでも乗りたくない。
「ではその額の包帯は」
「『豆腐の角で頭をぶつけて死ぬ』という自'殺法を試した」
「豆腐で怪我したのか？」
「豆腐を堅くするため、独自の製法を編み出したのだよ。塩で水分を抜いたり、重しを載せたり……自前の厨房でね。おかけで釘を打てるほど堅くなったし、組織の誰よりも豆腐の製法に詳しくなった」
「その豆腐はうまいのか」
「悔しいことに」
太宰幹部は顔を顰め、不本意そうな顔をした。
「薄く切って醤油で食べると、ものすごくおいしい」
「うまいのか……」
これには私も感心した。
「今度食べさせてくれ」
「何それ食べてみたい」
私が思わず零すと、二人が私の方を向いた。

ツッコミ不在の恐怖→←流れる時に顔を顰め乍

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