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「…ついさっき、本当にここに来る前に。荒木先生から呼び出しを受けて、貴方がここの花の世話をするって聞いた」
「あー…、そうみたい!いやあ参っちゃうよね、こんな広いお庭の花全部だよ?他に頼まれてる子がいるのかもしんないけどさ、それにしてもだよ!」
たはは!俺に任せるなんて冴先生も馬鹿だよね!頭いいはずなのになー!おばちゃんもおばちゃんでなんで俺を指名したかね!、空元気でもいい。俺は無理をしてでも笑った
これ以上特待生に気を遣わせるのは可哀想だ。仮面を被るのは今までも出来てきた。今だってこれからだって出来るはずだろ。
「それなら問題ない。私が一緒に世話をするから」
「たはは…へ?」
一緒に世話するって言った?今、目の前の女の子は。嘘?びっくりして固まっている間に特待生はどんどん花の世話の準備を始めた。
「今放課後だよ!?今日はこれからここで寮内バーベキューもあるのに、今から?!」
「放課後だからこそよ、水くらいあげなきゃ。吉篠くんもお昼食べたでしょ、これから夜ご飯も食べる。同じことよ」
特待生はガタガタと音を出し倉庫から菜園道具と庭を一周できる長さのホースを引っ張りながら花の世話をする理由を淡々と述べる。
花も生きてる、だったら私達も生かせてあげなきゃ。そう語る特待生の目は、本気で花を愛していると訴えるようだった。
「…そっかあ。たしかに、特待生の言うことは俺も分かる。花だって夜ご飯食べたいよね」
「そうね」
「うん。特待生が一緒なら俺でも出来そう!俺は何したらいい?やることある?」
花の世話をする理由を理解して、急にやる気の出た俺を特待生が少しびっくりした顔をして見た。種類が分かんないとか香りも苦手だけど、でも世話をしない理由にはならないもんね。多分始めたら楽しいだろうし!
「俺も花の名前とか覚えよっかなー!そしたらさ、これから特待生ともたくさんお話できるよね?」
「!、そうね…生身の人と花のお話をするのは、滅多にないから。楽しみにしても、いいかな」
特待生が、目を見開いた後ににっこりと笑った。初めて見る表情に、俺はちょっとドキッとした。特待生が期待の眼差しで俺を見る。それに応えるように、俺は元気よく勿論!と返した
花言葉「期待、あなたを信じて待つ(紫」)
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蒸田。(むしだ)(プロフ) - くっ…蛍からチョコを貰いたい人生だった… (2019年2月17日 7時) (レス) id: f91a58f64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花言葉企画参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月14日 22時