- 03. ページ49
*
アンコール前、ステージ袖にはけると
ぐでーっと椅子に座り込む洋平。
「飛ばし過ぎだよ。」
「はー、ヤバイ。俺、もうフッラフラ！笑」
「笑ってる場合じゃないでしょ」
「ふはっ、しょーがねえじゃん。
だってAちゃん一番前にいるんだもん」
まあ、気持ちは分かるけど。
「倒れないでよ？
どうせならちゃんと最後までかっこつけなよ？」
「んー、頑張るわー。
いざとなったらよろしく！」
「・・・知るか。」
「ふはっ、まーくんその台詞
今日2回目！笑」
まあ、今日はお前の気持ち、
ちょっとだけ分かったから。
少しくらいらなら助けてやってもいいけど。
フラフラになりながらなんとかライブを終えて、
ばったりと倒れ込んだ洋平が
スマホの着信音に反応した。
「まーくん！掛かってきた！」って
やたら嬉しそうにスマホの画面を見せてきて。
「・・・良かっ「もしもしAちゃん！？」
うわ、電話出るの早過ぎ。
俺の言葉を聞く時間すらもったいないみたいに
食い気味で出るとかどうなの？
『洋平さん、
今日めちゃくちゃかっこ良かったです！』
「ふはっ、ありがと。それより怪我しなかった？
飲み込まれてったでしょ？」
『あー、見てたんですか？大丈夫です。
青アザくらいは出来てそうですけど』
「俺、心配だったんだよ。
だから前来んなとか言っちゃったけどさ」
『そうなんですか？
それならそういう風に言ってくださいよー』
洋平は楽しそうにAちゃんと話してる。
二人とも数時間前、
喧嘩してたの忘れてんじゃないの？ってくらい
仲良く話してて。
ほんと、人騒がせな奴らだな。
そんなことを思う俺の横で、
ふたりの会話はまだまだ終わりそうにない。
もともと一緒に帰る約束をしていたのか
「駐車場どこに駐めたの？」とか
「高速大丈夫だった？」とか
電話越しに
なんだかいちゃいちゃし始めた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
