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彼女の話を聞きながら、
ああ、あの辺りかなとか
その場所を思い浮かべてると
「え、そんなところで迷ったの?
あそこ迷うようなところじゃないでしょ!?」
って驚いたりする。
「でも進歩したよね?」
「なにがですか?」
「一人で出掛けても家までちゃんと
帰ってこれるようになったし」
「えー!なんですか、それ!
洋平さん、私のことバカにしてるんですか?」
「ふはっ、してないよ。褒めてんの!」
俺がそう言うと彼女が大きく目を見開いて
どこがですか!?って顔をして。
「だって初めて泊まった時は帰ってこれなかったでしょ?」
「あれは、・・・私のちょっとした不注意だったんで」
あの時は周りを確認しなかったからだし、
それにどんどん歩いちゃったのもあるし、
とかぶつぶつ言い出して
「俺、迎えに行ったじゃん!
もー、あの時の顔、一生忘れらんないよ」
「え、やだ!すぐに忘れてください!」
「いやいや、それは無理でしょ!
カフェの窓際でがっつり凹んでるAちゃんの
落ち込み様ったらなかったね!笑」
「・・・もー、
そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」
俺が笑い出すと、彼女が頬を膨らませた。
最近はふたりの思い出もすっかり増えてきて。
そして今日こうやって笑い合ったことがまた、
ふたりの思い出になっていく。
それをまた未来で思い出して、
今日と同じ様に笑ったりするんだろうな。
そう思えると幸せで、
Aちゃんとはずっとこうして一緒に
笑い合っていけたらいいなって思う。
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作者名:叢雲 | 作成日時:2018年9月1日 0時