交わらない平行線

chapter:38 ページ39

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side エイジ.



あれ以来口をもごもごと何か話したそうにするけど結局りっくんは何も語らず、モヤモヤとした雰囲気に耐えられなかったのか「ちょっと外出るね」と残し俺はリビングに1人になった。


落ち着いて考えるいい機会かもしれない、とパソコンと一緒に目も閉じた。

今日口から出たのは言いたかったことじゃなく、思ってもないことだった。あんなに冷たい口調だとは自分でも思わなくて、我ながらびっくりしたくらいだ。
なのに、俺にだけ妙な距離感を取って接するAを見ると、ますます口調が冷たくなっていくのがわかった。
パソコン持ってたし、飯食いに来ただけではないはずなのに食べるなりすぐ店出てくし。
LINEも俺の既読無視で終わってるから何となく送りづらい。それはただの俺の意地だし、メンバーにそんなこと言ったら『送れよ』って言われるんだろうけど。

パソコンの隣に置いた携帯を見やる。今、この瞬間に向こうからLINE来たら楽なのに。...楽とか言ったら怒られるかな。

今度は手に取り、電源をつける。
...俺LINE溜めすぎだな。
いい機会なので溜まったLINEをちまちまと返していく。どんどんとAとのトークルームが下へと下がっていく。これじゃあ見逃してしまうな...と、手を止めた。


エイジ今暇?


無愛想な連絡しか出来ないけど、本心じゃないんだと、Aには伝わってほしい。


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side 貴方.


モヤモヤしたまま暫く、テレビを見ていた。そういえば楽しみにしてたバラエティが既に始まっている。
テレビを見ながら笑っていると、段々と心に掛かった靄がマシになっていく気がした。小さい時からテレビっ子だし、テレビのある時代に生まれてよかったぁ、なんて思う。

暫くしてCMに入った頃、ポケットの中の携帯が通知を知らせた。何も考えずに取り出すと、画面に表示される字にハッとする。


「えいちゃん...」


今暇？って、話をする機会を作ろうとしてくれてるのだろうか。
...また怒られるのかもと一瞬思ったけど、何故かそうではない気がした。真剣に、話をするための時間を取ろうとしてくれたんだと、感覚がアテになるかはわからないけど...そんな気がした。



Aテレビ見るのに忙しい


そんなふざけた返信にも、笑ってくれる気がしたんだよ。


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