交わらない平行線

chapter:36 ページ37

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あれから学校に向かったけど授業はあまり耳に入ってこず、夜ご飯を作る気にもなれなかったので駅前の適当なお店でぱっと食べて最寄り行きの電車に揺られる。
せっかく少し気が楽になったのに、これじゃ元通りだ。
優しかったえいちゃんはすべて私の見た都合の良い妄想で、実は渋谷駅前で見たあの時のように私のことを嫌っているのが本物なんじゃないか。なんて馬鹿なことを考え始める始末。
これじゃあみんなの家にも遊びに行きづらい。というか、えいちゃんに会いづらい。
なんてことを考えながら毛布にくるまりうーんうーんと唸っていると、着信を知らせる音楽。見ると、りっくんからだった。


「はい、もしもし」

『あ、出た。よかった〜』

「出た、って笑 どうしたの？」


特別りっくんとあれからLINEで大事な話をしたわけじゃないし、着信に心当たりが無さすぎる。


『いや、別に思い過ごしならいいんだけどさ...何かあったのかなって』

「何か、って？」

『えいちゃんと。家帰ってきてからえいちゃん機嫌が悪い...というか落ち込んでてテンションが低いんだよね。何かあったの？って聞いたら駅前のあそこでAが...って言ったっきり続きを教えてくれなくて』

「へ、へぇ...」


ほら、やっぱり機嫌が悪いんじゃないか。やっぱり嫌われてるんだよ、とネガティブ思考がぶわっと押し寄せてきて、暫く黙ってしまう。


『Aちゃん？話せないこととかならいいんだけど、心配で...あ、今はえいちゃん部屋で寝てるみたいだから安心して』


「...うーん...。あのね」


本当に心配したような声で優しく聞かれて、答えないという判断はないだろう。りっくんならえいちゃんがどう思ってるかとかも知ってるかも、と話してみることにした。


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『Aちゃんさ...えいちゃんのこと好きだよね』

「えぇっ！？」

びっくりして変な声を出してしまった。通話口からくすくすと笑う声が聞こえてくる。

『知ってた...というか、今の話で確信した』


「あの...ごめん」

『何で？』

「だ、だって私みたいな一般人から好かれてもまた迷惑になるだけだろうし...それはわかってるんだけど、でも...」


『いいよ、そんなこと。僕らアイドルじゃないし恋愛禁止でもないし。今回のは撮られたから騒がれちゃったけど、そらとか去年普通に彼女いたしね』


予想外の返事にびっくりして、何て返そうか言葉を選んでいると、また向こうから話しかけられた。


『それに...』


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