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寮までもう少し遠ければいいのに。
いくらそう思ったって、辿り着いてしまう
寂しさについ、玲於くんと絡まった指先にキュッと力を入れてしまう
玲「…何?」
私の顔を覗き込む玲於くんに、首を横に振る
今にも溢れてしまいそうな気持ちは
どうバランスをとれば溢れない?
「…玲於くん」
玲「ん?何?」
「…明日からまた一緒に頑張ろうね」
玲「ん、おう」
繋がれた手をゆっくり解く
貴方の体温が少し名残惜しい
静かに冷めていく手のひらを握りしめて
玲於くんに笑顔を向けた
「じゃあ、お疲れ様!!」
玲「おう。また明日」
ヒラヒラと手を振って行ってしまった彼の背中を眺めては、苦しい胸を押さえる
「っはぁ、帰ろ。寝よ。」
いくら考えても仕方ない事は、この世にはごまんとある
そのうち解決する問題は、いくつあるんだろう
今はこの胸の痛みが、さっきまで隣に玲於くんがいた印
同じ痛みの分、好きという感情が溢れている
ノロノロと階段を登り、自分の部屋に辿り着く
ローテーブルに置いたままの体温計と風邪薬
ハンガーにかけっぱなしのパーカー
無造作に散らばったGENEのCD
少しずつ増えていく物たちが、家の中ですら玲於くんを思い出させる
「キモ…私…」
こんなに人を想う感情が自分の中にあるなんて
「あるんならもっと早く言えよ…」
知らなかったんだよ
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美紀 - 移行おめでとです気温の変化が激しいので気を付けて更新大変だと思いますが頑張ってくださいね応援してます (2019年12月23日 12時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬう | 作成日時:2019年8月12日 1時