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34「迷惑を」 ページ35

恨んでなどいない。

出された肉料理に滑らかな動作でナイフを入れる老紳士を見てAは思う。

kill or die(殺すか死ぬか)。選択肢に殺さない、なんて言葉は最初から無かったのだ。それに、表向きには14歳で死んでいる僕が17まで生きられたのは他ならぬリュウさんのお陰。感謝してもしきれない恩がある。

「どうしたのかね?食が余り進んでいない様だが」

「嗚呼いや、余りに美味しそうだから食べるのが勿体無くて。そうだ、銀は元気?一緒に行きたい甘味屋(スイーツショップ)があるんだ」

楽しそうに笑って話すこの顔は、決して作ってはいない。実際に楽しいのだ、きっと。

リュウさんは僕があの時(・・・)の犯人を知らないと思ってる。だって僕はその場に居なかったし、異能に目覚めたのは15になってから、って事にしてあるから。それがリュウさんにとってのせめてもの救いだ。
僕が彼を責める事は絶対に無いと、彼自身わかっているから。だから親代わりとして振る舞える。だからこうして何時でも料理に毒が入れられる距離で普通の食事が出来る。

だからこそだ、とパンを一口大に千切って口に入れた。繰り返す咀嚼。不意に広津が悪戯っ子を注意する様な声音で言った。

「中原君に迷惑をかけてはいかんぞ。次の幹部候補者なのだから。」

こないだ差し入れたプレミアムシュウクリヰム人数分、その幹部候補サマに奢らせたんだけどね、とは流石に言えない。

「クスリの件ならむしろ手助けしてる位だから、大丈夫。もう少しで片がつくよ。」

Aの笑顔に彼は何も言わず微笑みを返して、ナイフとフォークを置いた。

「すまない、時間だ。後にケェキを頼んであるからゆっくり食事を楽しみなさい。…誕生日御目出度う。」

「うん。有難う、リュウさん。」

パタム。静かに扉が閉まり、ウェイターがケェキを取りに部屋を去る。一人きりになった空間で、Aはふぅ、と溜息を吐いた。

「そう、もう少しだから……その幹部候補サマには頑張ってもらわないといけないんだよね」

運ばれてきたのは手のひら程のミニケェキだった。クリィムがたっぷり乗ったショートケェキに、飴細工の可愛らしい妖精と金銀のアラザンがデコレーションされている。

「……ごめんね(・・・・)ミィ(・・)。」

言うや否やAは飴の妖精をヒョイと口に入れて味わう間もなく噛み砕いた。

35空見 流と題名に書かれていた原稿用紙の中身→←33生きる術



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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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