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30「邪魔」 ページ31

「空が……暗くなってきたね」

砂色の空を見上げ、流は呟いた。生温い風に乗って流されてきた雨雲。恐らくこの辺りで一雨降るのだろう。雨は良い。傘に当たる音も、太陽を反射して煌めく光も。何でもない様な風景でも、雨というアクセント1つで様々な表情に姿を変えるからだ。

そんな期待が顔に出ていたらしい。京雅はちょっと黙ってから、「邪魔したな」と扉に足を向けた。

「な、何でっ」

空気を読んだ様な声色に驚いたのは流である。むしろ此処に居て欲しい位なのに。

「手前が言ったろ?」

制服のポケットに手を突っ込んで、何を言っているんだと言わんばかりに怪訝な顔をする京雅に、流は自身の発言を省みた。

『うん。……と言うか、それ僕が流した話なんだ。空の撮影、邪魔されたくないからさ』

「あ、えと違くて!!邪魔っていうのはそのーーーー」


京雅とAとクスリのお客さん以外の人の事


なんて言えよう筈もなく。結論。

「ーーー京雅とAは邪魔じゃ無いから!!!一緒に居て楽しいから邪魔とか全然違うから!!!むしろ一緒に居たいから居て下さい!!!」

気圧された様に京雅が頷く。数秒後、自分の発言を脳内再生して流は耳まで真っ赤に染まった。それを見計らったかの様なタイミングで扉が乱暴に開く。舞台役者か何かの様に堂々とやって来たのは、お察しの通り、Aだった。

「盛大な告白をどうも有難う、ミィ!」

この男、笑顔から性格の悪さが滲み出ている。スキップでもしそうな勢いで彼は真っ赤な流の目の前に移動し、二人に向けて言った。

「今度の中間のテスト範囲、君達は学習漏れがある様だ。何、安心し給え。例文一つで覚えられる。

Tomorrow it might be me (明日は我が身)だ。」

その言葉にハッとした京雅が「手前何処から聞いてやがった!!」と叫んだのに対し、Aは当然の如く応える。

「『あ、あぁ、其処か……手前は……その、ナナフシギに会った事あるか?』からだ。」

「「ほぼフルかよ!!」」

31「誕生日だから」→←29来客と空の色



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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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