夏のてんごう【夏油傑】

21話 ページ21

五条に根気よくつきまとって領域展開の教えを請い始めて1週間ほど。

最初はノリノリで教えてくれようとしてたのに

最近は私が来る度に顔に手を当ててため息をつかれる始末。

それでも追い返されはしないし、
嫌々には見えるけどなんだかんだ私のお願いは聞いてくれるらしい



「まーそうだね
領域展開は
術式のタイプによって向き不向きはあるよ。

Aの場合、まずは結界術の理解からかな。

元々領域が備わった術式を持ってる術師はやりやすいだろうけど、Aの術式はそうじゃないからね。」


「結界術かあ
いけるかな」



帳は下ろせるけど、私の使える結界術はそれだけだ。

しかも私の仲良い人で結界術の使い手は生憎いない。



「強くても結界術できない術師多いからどうだろうね

Aの場合、呪力量は多分問題ないからあとはセンスかな
〜」



なんて言う五条は、さっさとこの個別授業がなくなってほしいとでも言いたげな様子だ



「教える気ある？」


「あんまり！」



いつものおちゃらけた調子で即答する1回り上の同期をジト目で睨む。



すると今度はいいことを思い付いた！
とでも言うような顔で



「僕に領域展開教えてもらうより、
傑に極ノ番教えてもらった方が有意義じゃない？」



なんて言ってくる。


術式的にもそれがいい！
とかなんとか。



「Aの術式は物質を術式対象にするのに特化してるでしょ？結界術も今からどうこうするってのは非効率だし手っ取り早く強くなりたいってことであればやっぱり長所を伸ばすのがいい。それにAは遠距離攻撃できるのに体術ごり押しスタイルだし。結界術での呪力の押し合いってよりは動きながら生かせる術を更に磨いた方が強みを活かせると思うんだよね。」



ペラペラと御託を並べた挙げ句

得意気に


「てことで僕じゃなくて傑に聞けば？」



と。



「な、んで夏油が出てくんの、」



急に出てきたその名前に言葉が詰まる


それを五条は見逃さなかったらしい。



「…へえ？」



私の反応を見て

面白いものを見た、みたいな声を漏らした

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