3話 ページ3
あれから1カ月ほど経ったけど、夏油の思わせ振りな言動はあの1回きり。
本当にただの自惚れだったようで恥ずかしい。
…いやいや、私はもう別に好きじゃないぞ。
私が好きだったのは17歳の夏油だった訳で、三十路夏油は対象外だ。うん。
一回りも上の奴を好む趣味はない。
…ってまぁ向こうもそんなこと思ってないだろうから何も起きないんだけど。
過去の想いは忘れて
私は同期たちと第二の青春を謳歌するのだ!
・
再びこの時代でも1級昇格するため、今日は何回目かの付き添い付きの1級呪霊討伐。
過去を知ってる人達に
飛び級させろ!とわがままを言った所、京都の学長がうるさいからと却下された。だからまた1から受け直し。
今日は1級呪霊が確認されたとのことで、その任務を私に回してもらった。
これで多分付き添い任務は最後だ。これが終わればまずは準1級になれるはず。
「…また君ですか」
「不満かい?」
車のドアを開けて乗り込むと、すでに中には夏油が座っていた。
夏油は先生じゃないから高専での遭遇率はさほど高くない。
…なのに。
この付き添い任務の殆どが彼と一緒なのだ。
「多すぎ、って話。
他にもいるじゃん!七海とか冥さんとか」
「その2人に推薦してもらったんだろう」
だから無理に決まってるじゃないか、と。
「じゃあ学長でも、最悪五条でもさあ。
仕事しないウチの担任もいるし。」
「自分の生徒の昇級試験には関われないよ」
わかってる。わかってるけど!
東京にいる1級以上の術師なんてあと夏油くらいしかいないから必然的にこうなるのはわかってるけど!
子供っぽさが抜けた夏油と一緒にいるのはなんだかそわそわする。
私が夏油をいじる構図だったのに、元の時代に戻ってみれば大人夏油には通じないし、むしろ私がからかわれる始末。
「勝手に大人になりやがって」
拗ねた子供みたいに、窓の外に向かってぼそりと吐き捨てる。
「勝手にいなくなって子供のまま戻ってきたのは君だろう」
珍しく強めの口調でそんな言葉が返ってくるものだから振り向くと、やはりそこには少し不満げな夏油の顔がある。
「てっきり私は28歳のAに会えるかと思ってたのに。
…会えないよりは良かったけどね。」
拗ねつつも笑って、最後に添えられた一言で体温が上がった。それを誤魔化すようにそっぽを向く。
こんなおっさんにドキドキするな、私。
「子供で悪かったですね」
「いや、それも悪くないかなと最近思ったんだ。」
「?」
「こっちの話」
夏油は楽しそうに目を細めるとそう言って笑った
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アリア(プロフ) - おとても、好きなお話です。更新楽しみにしています。 (2022年9月13日 7時) (レス) @page19 id: a6acf319a5 (このIDを非表示/違反報告)
莉乃(プロフ) - すごく面白いです〜!!もう、大好きです❤️♥️❤️ (2022年2月25日 11時) (レス) id: d96deb1772 (このIDを非表示/違反報告)
皐摩(プロフ) - 好き!!!!!!(クソデカボイス) (2022年2月16日 18時) (レス) @page16 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あぁなんて素晴らしき作品♡♡願わくばこのまま幸せにイチャイチャしていて欲しい♡♡続きがとっても気になるけど夏油さん推しとしては幸せになれただけでも良しかなって感じもします! (2022年2月15日 0時) (レス) @page16 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - もう幸せすぎてニヤけが止まりません!こんな神夏油さん作品を作ってくれてありがとうございます! (2022年2月15日 0時) (レス) @page4 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬし | 作成日時:2021年8月29日 19時