8話 ページ8
「私はできればほっといてもらいたいですけど」
「呪いの心あたりはあるんだ?」
見た目に反して頭回るね、とでも言うかのような態度に少しムスっとして答えると
核心をつくようにそう言われた。
「それは最初に会った時に気づいてましたよね」
半ばやけくそ。ジト目でそう返す。
私が呪いに関して「わかりません」と言った時、「そっか」とやけに物分かりが良かったのはそういうことだ。
すると五条さんは少しだけ目を丸くして感心した様子。
気づいてたんだ?とでもいうような視線。
そこまで私はバカっぽいか!失礼な人め!
そんなに鈍感そうに見えるかな。
これでも“見える”せいで色々苦労してきた私は空気を読んだり、人の考えを察知するのは得意だ。
「…五条さん、モテないでしょ」
目の前の失礼な人にそう言う。失礼返しだこのやろう。デリカシーのない奴はモテないんだぞ。
「えっ、女の子にそんなこと言われたの初めて」
こっちは100%の悪意で言ったのに、そんな驚きの返答が返ってくる。本気で驚いてるあたりが逆に嫌味だ。
「やっぱり世の中の女は顔に釣られるんですね…!」
不条理な世界。世の中の男子に同情する。
「Aちゃんは釣られてくれないんだ?」
「釣られた所で私にメリットないですもん」
テーブルに肘をついて得意気にそう聞いてくる彼にぴしゃり、とカウンターを放った。
私は見た目に騙されるほど他人に興味は持ってない。
そんな私を見て、簡単にはいかないか。
と五条さんはため息をついた。
そして、
「残念、僕はAちゃん気に入ってるのに。」
さほど残念そうじゃない五条さんの何気ない一言が
「Aは俺のお気に入りだから」
昔の嫌な男と被った。一気にトラウマが脳裏を駆け巡る。私の呪いの発端となった出来事。
「…五条さん」
「何?」
「撤退命令です。」
「え?」
「コンビニの除霊もやっぱなしでいいです。」
「どうしたの、Aちゃん」
戸惑う五条さんをドアの前まで押しやり、一度深呼吸して答える
「五条さん、私を見下してるでしょ。
本人に"気に入ってる"って言うの、傲慢です。
五条さんが思ってるほど私はバカじゃない。
…それと。」
ドアを開けて五条さんを外に押し出す。
「食べ物の乗ってるテーブルに肘つく人は嫌いです!」
捨て台詞を吐いてドアを閉め、鍵をかけた。
「…最悪。」
私をバカにした五条さんも
五条さんに八つ当たりした私も
私の過去にあった出来事も
全部全部、最悪だ。
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sou(プロフ) - すっごく素敵な作品ですぐに読み終えてしまいました!! (2022年2月14日 23時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ぬし(プロフ) - 桜ひかりさん» ありがとうございます!是非お店で探して見てください(* ´ ▽ ` *) (2021年8月17日 11時) (レス) id: 41dab58f13 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - ぬしさん» おかわりご馳走様でした!!!!もう最っ高です!!!!…(オマケもいつの日か拝めることを楽しみにしております)世の中にそんなすんっばらしいだし巻き玉子ある???もうだし巻き玉子の時点ですんっばらしいのに???ウニ入れちゃう????いつか必ず食べると決意 (2021年8月17日 9時) (レス) id: 04b6369d98 (このIDを非表示/違反報告)
ぬし(プロフ) - 桜ひかりさん» そう言ってもらえて嬉しいです!続編も考えてみます! (2021年8月16日 13時) (レス) id: 41dab58f13 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - おかわりは出来ないんですか…???この素晴らしい世界もう終わり????ま????見れるならみたいです!!お願いします!!ご清聴ありがとう!BIGLOVE!!!! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 04b6369d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬし | 作成日時:2021年8月6日 16時