私の呪い。【五条悟】

五条悟の憂慮2 ページ37

外に出ると夕日の当たるベンチでムクと日向ぼっこしているAがいた。

ほわほわとした空気が遠目でも感じられるあたり、１人だと思って油断してる時のAだ。
それを見て思わず口元が緩む。


気づかれないように近づくと
ムクに話しかけていた。


「お腹空いたねぇ
今日何食べようか

昨日はアンコウのお肉が入ったパエリア食べたんだよ。お腹光っちゃうねえ」


この気の抜けた感じ、初めてAの店に行った時を思い出す。


「この前Aが言ってたお店はどう？」


話しかけると
「！？」と飛び上がってこちらを見る



「今の聞いて…ないはずないですよね」


恥ずかしそうに
はぁ、と息を漏らす


先程のほわほわとは一変
「でも昨日も外食ですよ」
と言うAはちゃんとした大人って感じ。



「…なんでほわほわ隠すの？」

可愛いからいいのに。
他はともかく、俺にくらいは隠さなくてもいいのに。



「ほわほわって…！

26にもなってこんなの人に見られたら恥ずかしいでしょ！
ちゃんとした人だと思われたいので。
実際あなたよりちゃんとしてますし。」


さりげなく毒を吐いて、
変な近づき方してくる誰かさん以外には知られてないです！と怒るA



…人といる時もたまにそれ出てるよ。


実際、硝子の前でもポロリと変なことを言うことがあるらしい。
隠しきれてない事に気づいてないのがまた可愛いけど。


その事実を教えるのはやめておいた。
これ以上怒らせてしまっては今日の作戦に支障が出てしまう。


Aがムクに先お家帰ってて。
と言うとポンッとムクが消えた

スタスタと歩いて行ってしまうかと思えば
立ち止まって振り替える


「お店、行くんでしょう
何止まってるんですか」


と。



「任務は？
報告待ちだったんじゃないの？」


追い付いて一緒に歩きながらそう聞く。

呪物などを見つけて持って帰ってきた場合、どんな物だったのか調べて報告を受けるまでの間、待たされるのはあるあるだ。
面倒だが、呪物の影響を受けてる可能性もあるのでそのまま帰ることはできない。

てっきりそれだと思ってたのに。


「悟さん待ってただけですよ」


当たり前のようにそういうAに少し驚いて、ニヤける口元を思わず手で隠した。
それを見たAは怪訝な顔で


「悟さんて変な所で照れますよね」


変なの。と
本来ならあざとい台詞を言ったことに全く自覚がない。
敵わないなぁと思いながら緩んだ口元をそのままに


「手繋いでいい？」


と聞くと


「嫌です！
高専内で良いわけないでしょ」



と全力で拒否された。
うん、やっぱ敵わない。

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