私の呪い。【五条悟】

31話 ページ31

腕、痛いなぁ
これさすがに反転術式でも治らないかな

なんて倒れながら考えていると
辺りの景色が急に変わり、呪力に包まれる


「はは、」


確かに発破はかけたけど、初っぱなから領域展開だなんて。
やっぱりAちゃん、ぶっ飛んでる。

面白くなって、倒れてた体を起こす。
すると、夜の公園みたいな空間に、戸惑う呪詛師と元彼と、ムクを連れたAちゃん。


ムクが巨大な狼のような姿に変身すると、

「うぁ、い、嫌だ！
助けて！！」

呪詛師は呆気なく噛み殺された。

元彼はムクの後ろ蹴りでぶっ飛ばされる。


ぱっと廃墟の景色に戻ると
Aちゃんが駆け寄ってきた。


「五条さん！
腕が…」


相変わらずポロポロと泣きながらごめんなさい、と謝ってくる。


「Aちゃんの命と引き換えって考えれば安いもんかな
傷もふさがったみたいだね？
無事でよかった」


ある方の腕でAちゃんを抱き寄せる。

すると、
いつもみたいに逃げることはなく抱きしめ返された。


「えっ、あの〜？
Aちゃん…？」


Aちゃんの予想外の行動に戸惑う。


「五条さん、死んじゃったら…私どうすればいいか」


泣きじゃくるAちゃん。
ぎゅっと更に抱き締められる。

聞き間違えじゃなければ、確かにそう言った。

ん？

…え？


何、今の。


多分、俺の顔は今真っ赤だ。


「あの、Aちゃん。
もしかして…」


Aちゃんも俺のこと好きなの？


半分以上、俺の希望だけど
もしかしたらもしかするかもしれない

その言葉を口にしようとした時



「ワフッ」

柴犬の姿に戻ったムクに遮られた。

ムク…お前わざとか。
ジト目でムクを見ると、俺のちぎれた腕をくわえている。


「ムク、治せるの？」

「ワフ」

「ホントに！」


せっかく抱きついていたAちゃんが離れる。
ささ、寝てください
と寝かされ腕を本来あるべき場所に設置した。


「ムクの言葉わかるの？」

「なんとなくです。」


そんな緩い会話をしてるうちにムクが反転術式で治してくれた。
グッパとちぎれていたはずの手を動かすけど、問題なく動く。

…切断された腕も治せんのね。


Aちゃんは使えないけど
ムクの意思で発動はできるのか。

それともさっき出来るようになったのか。


領域展開中のムクも、1級でも頭1つ抜け出るほどの力だったな。

通りで呪詛師が欲しがるわけだ。


改めて規格外の、意中の女の子を見ると
もう呪いは消えていた。


呪いが消えたってことはもう関わり減っちゃうのかな、なんて。少しがっかりしてる自分がいる。

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