私の呪い。【五条悟】

25話 ページ25

カランッ

僕の持ってた木の棒がAちゃんに落とされた。


「うん、いいね。
休憩しようか。」


あれから体術を学ぶため、平日は高専に来るようになった。

お店はいいのか、と聞いたところ
「どうせ五条さんしか食べに来ないからいい」とのこと。

「それより今はやらなきゃいけないことがはっきりしてるので。」

と良い目をして言っていたのも記憶に新しい。


このまま術師として染まってくれれば、なんて。
強く聡い子の中にこの子も含めたい。


・
・
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休憩所で飲み物を買って座る。


「体動かすの、やっぱ楽しいですね」

高校の体育以来です、なんて言うけど
体術のみだったら既に僕に勝ててしまうほどだ。

やっぱり筋がいい。

真希や悠仁ほどの身体能力はないものの、それを補う洞察力と判断力。
呪具持たせたら１人で任務も行けてしまいそうだ。

なんて思いながら横に腰かけてるAちゃんを見た。


飲み物をぷはーと幸せそうに飲んでいる。
いつも耳にかけている右側の髪の毛が落ちていて横顔が良く見えない。

無意識のうちにAちゃんに手が伸び、その髪を拾って耳にかけていた。


一瞬、触られたことにビクリと跳ねる彼女。

それから状況を理解して
全く…、とも言いたげな視線を送ってくる。


「そーゆーの、やめた方がいいですよ」

「ん？」


しらばっくれると更に呆れ顔。
少し照れたようなジト目が可愛い。

心なしかAちゃんの頬が赤い気がして、予想外の反応に少しスイッチが入る。




「Aちゃんてさ、」


再び伸びる僕の手に警戒して手首を掴んで押し返してくるけどそんなんで止めてあげる訳もなく。


頬に触れて耳へと移動する。
また少し、ピクリとAちゃんが動く。



スリ、と耳を撫でた。


「耳、弱いでしょ」



「な、な、」


困ったような、怒ったような顔でフリーズしながら
ぽぽぽぽぽ、とみるみる顔が赤くなっていく


もう少しイタズラしちゃおうか、と再び手を動かそうとすると、視点がぐるんと回転した。そして衝撃。


…投げ飛ばされた。



「レベル5認定です！
次触ったら嫌いになりますから！！」



真っ赤な顔で焦ってそう言うと走り去ってしまった。



…あんな顔で言われても。全然説得力ないじゃん。
さっきの顔を思い出してつい口元が緩む。


これ、もしかして。

「…脈アリ？」

「ポジティブだな」


休憩しに来たらしい、一部始終を見ていた硝子に突っ込まれる。


あ、今日呪具渡す筈だったのに。

明日でいっか、と明日のAちゃんの反応を想像して再び口元が緩んだ

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