3話 ページ3
あれから数日。
特に何事もなく店で働いてる。命の恩人である目隠しさんはまだ来ていない。
25歳にして晴れて夢だった自分の店を開いたは良いものの、1年経った今も売り上げはぼちぼち。
土日は良く売れるし、バタバタと休む暇はないのだけど、平日は忙しくないことがほとんど。
その場でお茶もできるように2つほどテーブル席を置いているけど、今は誰も座っていない。
30分に1人、お客さんがケーキを買って帰るだけだ。それだけですでに時計の針は午後の3時を指していた。
さながら、パン屋で電話番をするキキの気分でカウンターにうなだれる。
1人でやっているから、閉店の18時まで休憩は取れない。
でろーんとほっぺをカウンターにくっつけて、少し気を抜いて目を瞑る。寝ないけど。ちょっと休憩。どうせ暇だし。
「このまま暇だとカウンターと一体化してしまう〜」
リラックスしながらそんな独り言を呟くと
「それは困るな
食べに来たんだけど。」
と上から声が降ってきた
「!?!?」
慌てて顔をあげる。目の前にはサングラスをかけた長身のお客さん。でも、あれ?入り口のカランカランって音鳴ってないけど…。
「すみません…!
いらっしゃいませ!ごゆっくりご覧ください!!」
何はともあれ、失態だ。慌てて取り繕い、椅子から立ってピシッと姿勢を正す。勢いで椅子が倒れてしまい、あたふたと立て直した。失態に失態を重ね、恥ずかしさと気まずさでいっぱいになる。
そんな私を見てお客さんがククク、と笑いを堪えている。
「いやあ、ごめん
ちょっとドア開けたら、寝てるの見えたからベル押さえて入ってみちゃった」
そう言ってドアについてるカランカランを指差すお客さん。普通店員にイタズラする?多分この人来るの初めてだし。
この人、変な人だ!
「ね、寝てないです!」
一応訂正しておく。が、
「そうだね。「カウンターと一体化してしまう〜」って言ってたもんね。」
盛大なカウンターを食らった。カウンターだけに。
「……。
…ごゆっくりご覧ください。」
私はこの人に口で勝つことはできない。そう悟った私はさっさと帰ってくれることを願って話を切り上げた。
変なお客さん、空気読んで早く帰ってね。できればいっぱい買って帰ってね。と念を送る。
すると、変なお客さんはわざとらしく話始める。
「おかしいな〜
ここにきたらいくらでもサービスしてくれるって言われたんだけど?」
そして得意気に私の名刺を見せてきた。
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sou(プロフ) - すっごく素敵な作品ですぐに読み終えてしまいました!! (2022年2月14日 23時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ぬし(プロフ) - 桜ひかりさん» ありがとうございます!是非お店で探して見てください(* ´ ▽ ` *) (2021年8月17日 11時) (レス) id: 41dab58f13 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - ぬしさん» おかわりご馳走様でした!!!!もう最っ高です!!!!…(オマケもいつの日か拝めることを楽しみにしております)世の中にそんなすんっばらしいだし巻き玉子ある???もうだし巻き玉子の時点ですんっばらしいのに???ウニ入れちゃう????いつか必ず食べると決意 (2021年8月17日 9時) (レス) id: 04b6369d98 (このIDを非表示/違反報告)
ぬし(プロフ) - 桜ひかりさん» そう言ってもらえて嬉しいです!続編も考えてみます! (2021年8月16日 13時) (レス) id: 41dab58f13 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - おかわりは出来ないんですか…???この素晴らしい世界もう終わり????ま????見れるならみたいです!!お願いします!!ご清聴ありがとう!BIGLOVE!!!! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 04b6369d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬし | 作成日時:2021年8月6日 16時